なぜ診察室ではあなたの伝えたいことが伝わらないのか?

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厚生労働省の受療行動調査(平成23年)では、疑問や意見を外来で医師に「十分に伝えられた」と答えた人は68.7%にとどまっています。なぜなのでしょうか。


診察時間は限られている

ひとつの問題として診察時間が短いことがあります。 日本の病院において、大体診察時間ってどれくらいだと思いますか?病院によっては3分診療なんていわれてしまっているところもありますね。

また、どんなに長くてもまあ20分~30分は超えないでしょう。 当然ですが診察時間は必要に応じて長くなったりもします。

しかし、仮に午前の外来で30人の予約があったとしましょう。9時から13時の診療時間とすると4時間で30人ですから、1人当たりの診察時間は単純計算で8分となってしまいます。

実際に同じく受療行動調査のデータでは、診察時間10分未満というケースが半分以上を占めています。

この短い時間内に疑問や意見を医師に十分に伝えるというのは、よほど準備をしっかりしておかないと実際難しいです。

聞くことをあらかじめ決めておいたり、紙に書いておいて持ち込んだりといった工夫が必要です。

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大切なことから説明するのはむずかしい

診察時間は短い反面、自分の症状を説明することは非常にむずかしい。ましてや慣れていないことなのでなかなかスムーズに伝えられません。

あなたは診察室に入って、「今日はどうされましたか?」と聞かれたとき、何から話したらよいのか戸惑った経験はないでしょうか。

あなたは今何に一番困っていて病院に来たのかを医師に伝えなくてはいけません。しかし「今日はどうされましたか?」という質問に対して、いきなりその重要な点から話始めることはなかなかむずかしいのです。例えば、

医師「今日はどうされましたか?」

患者さん「いやー、実は十年前にお腹の手術をしたことがあって、そこの先生が開業したんで、しばらくそこの医院にかかっていたんだけど、最近その先生が引退しちゃって、かかるところがなくなっちゃって、それできたんですけど。」

医師「それでは今日はどうされたんですか?」

患者さん「いや、もともと喘息の気があるとかいわれたことがあって、よくそこの先生からその度によく効く薬をもらっていたんだけど、結構前に肺炎で一度他の病院にも入院したことがあって、肺はけっこう昔からわるいと思っているんです」

医師「それで今日はどうされたんでしょう?」

患者さん「昨日もその肺によく効く薬が残っていたんで飲んだんですけど、肺の方はおかげでもう今日はよくなっているんですよ。」

医師「で、今日はどうされたんですか?」

患者さん「いやーだけどまだ鼻水がひどくて・・・」

このようなやりとりは、実際よくあります。 一見すると会話になっていますが、医師からの問いに対する答えが出てくるまでにだいぶ時間がかかっています。

この一連のやりとりで患者さんが伝えなくてはいけない一番大切なことは「何がつらくて病院に来たのか」です。

そしてそれは「鼻水がひどくて来た」です。

最初に「鼻水がひどくて来た」と言ってから、それについて説明していく方が相手に伝わりやすいです。

何がつらくて、何に困っているのかを常に考えながら話すのがとても大事です。


客観性をもった表現を使う

また、相手に伝わるように客観性をもった表現の方が伝わりやすくなります。

医師「それはいつごろからですか?」 患者さん「結構前からです。」 みたいなやりとりがけっこうあります。

いつごろからというのは数日前なのか、数週間前なのか、数ヶ月前なのかを伝えなくてはいけません。

しかし、実際自分の症状を客観的な表現に置き換えて説明することはむずかしい。 診察室に入る前に、病院にくるまでの経過を頭の中で整理しておかないと、質問に的確に答えられません。

あらかじめあなたが伝えたいことを頭の中で整理しておいて、「医者にみてもらう」ではなく、「医者にみせる」という感覚がとても大切です。