結論から話し出そう!|話がわかりやすい人はどうやって話している?

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相手に話を伝えたいときに一番大切なことは、伝えたい大事なことをまず最初に言ってしまうことです。これは間違いありません。

「なんだ、ブログ名とは全然関係ない記事だな」と思われた方、ちょっと待っていただきたい。この話は診察室での会話にとって、とても大事な話なのです。

私は内科医をやっておりますが、これまで会話をした患者さんの数は数えきれません。 接客や営業などの仕事をされている方もそうですが、自分は他の職業の方よりたくさんの人と会話をしていると思います。

職業上、いろんな人と話していると、伝えたいこと上手に伝える人と、そういうことが苦手な人がいると気付きます。

そこで、診察室での経験から、話がわかりやすい人というのは、どうやって話しているのかについて書いていきたいと思います。


伝えたいことの本題から説明する!これに尽きます

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まず初めに、というかもうほとんどこれに尽きます。 話の分かりやすい人というのは、一番最初に、自分が本当に伝えたいことから話し始めるのです。

例えば、話のうまい人は、「今日はどうされましたか?」という問いに対して、「お腹が痛くて来ました」とか、「のどが痛くて来ました」などの非常に単純でスマートな返答から入ります。

自分が一番困っていて、病院に来る直接の理由となった症状を、端的に最初に伝えてくれます。 このような人の話は非常にわかりやすく、医者にとってはとてもありがたいのです。

こちらも細かいところまで気を配って聞けます。 話を聞く側に「ああ、この人はお腹が痛くて来たんだな」という情報が最初にインプットされるので、そのあとの話を非常に追いやすくなります。

最初の「腹痛」というインプットがあった時点で「いつからだろうか?、下痢はあるのだろうか?、食欲はどうだろうか?」など、重視して聞くべきポイントを思い浮かべながら話を聞くことができるからです。

話が分かりにくい人はなかなか本題を明かさない

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一方で、話が分かりにくい人というのは、なかなか本題に入りません。 「今日はどうされましたか?」の問いに対して、「実は数年前から病気があって、普段は別の病院に通ってまして、あと最近そこで薬が変わりまして・・・」など、一番困っていることの前に、非常に前書きが長くなります。

これは、話を聞く側からすると、すごく話がわかりにくいという印象を受けます。そして実際にわかりづらいです。

この前書きの話のあいだ、「そもそもこの人が来た理由はなぜなんだろう、この話はどう関係あるんだろう」という疑問をずっと持ちながら話を聞くことになります。

先ほどのケースと違うのは、相手が何に困っているのかわからないまま、しばらく話が続くので、話の内容をなかなか頭の中で整理できないのです。

できれば、前書きを始める前に、「~で困っているので来ました」と伝えてもらえると、そのあとの内容も非常に理解しやすくなります。


わかりやすく話すためには枝葉より本幹が先!

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話の分かりにくい人の多くが、まず最初に枝葉の話をくわしく丁寧に敷きつめた上で、そのあとに自分が本当に言いたいことを展開していきます。

おそらく多くの人が、相手のためを思って、この方法がわかりやすい、伝わりやすいと思って、やっていらっしゃるのだと思います。

しかし、実際これは非常に伝わりにくい方法です。なぜならば、最初に始まる枝葉の話に、聞き手がついていけず混乱するからです。

相手に分かりやすく伝えたい!という場合には、まず本筋の話をどーんと通して、そこに枝葉の情報をくっつけていく方が、聞き手は話をよく理解してくれます。

これが結婚式などのスピーチであれば、本題を話すまで伏線を張っておいて、最後にそれを回収するようなきれいな流れが重要となるかもしれません。

また、議論して相手を説得しなくてはいけない場合には、先に枝葉の話を敷きつめて、自分の言いたいことの道筋をあらかじめ準備しなくてはいけないこともあります。

しかし、困っていることを相手に伝えたい、相談したいという場合には、本質でない内容から始めると、言いたいことの本質はぼやけてしまいます。

伝えたいことを伝えるために起承転結はいらない

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いかに情報を言葉でわかりやすく伝えるか、という問題において、ドラマチックなストーリーや、どんでん返しなどはまったく必要ありません。

伝えたい大切なことを端的に一番最初に伝え、追加の情報を後からつけていくのが、何よりわかりやすい方法であることは間違いありません。

これは診察室での自分の経験から、自信をもって言えます。 病院にあてはめれば、「あなたが何に一番困っているか」を、医者は一番最初に知りたいのです。

それを最初に知れるかどうかで、そのあとの会話の理解度に大きく関わってきます。

でも話を聞くのが医者の仕事のはずでしょ?

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おっしゃる通り、話を聞くのが医者の仕事です。そうなのです。 すべての医者は教科書的には、患者の話をすべて聞いて、遮ってはならないと教わっています。

理想的には、医者は患者の話をすべて聞いて、そこから頭の中で聞いた話を組み立てなおして、足りない情報について質問していくべきです。

しかし現実には、外来の時間は限られており、待っている他の患者もいます。 あまりに本題とは違いそうな話が長くなると、医者は患者の話を一旦止めて自分から質問していきます。

患者が話している内容の中から、医学的に重要なことをピックアップしていくために、やむを得ず相手の話を止めて質問していくのです。

個人的には、医者が話を聞いてくれない!というケースの中には、この問題が原因になっているものがあるのではないかと思っています。

大切なことから話すのが有用なのは診察室の会話に限らない!

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少し診察室の会話の話から離れます。 私は、こういった話し方のことが、仕事の時だけでなく、日常的な生活の中でもたびたび気にかかることがあります。

大切なことから話し出すかどうかは、おそらく患者と医者の会話に限らず重要です。 店で買い物をするときに商品の説明をしてもらったりするときなども、やはり話がわかりやすい人というのは、重要な結論から話し始めています。

逆に、何を言っているのかわかりにくいなぁ、という人は、前書きが長かったり、なかなか結論を言ってくれなかったりという場合です。

多くの医者は、患者の病態のプレゼンテーションのトレーニングを受けてから医者になっているので、「大事なことから話し出す」というのはごく自然にやっています。

接客や営業の仕事の方も、おそらくこのようなトレーニングを受けていて、説明がわかりやすいのだと思います。

しかし、そうではない多くの人は、このようなトレーニングは受けてはいないので、「大事なことから話せばもっと伝わるのになぁ」と感じることが非常に多くあります。

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まとめ

私は人に伝えたいことがあるときは必ず、結論から話して、付加的な情報は後回しにします。

相手に伝えたい!というときは、自分が伝えたいことから話し始めることが本当に大事だと思います。

そしてもし病院にかかることがあったとき、このことを知っておいていただけたら、医者としては本当にありがたいです。