高血圧の薬をやめることができた人はどんな人?|健康に対する考え方

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生活習慣病の方を多く診察して、常々思うことがあります。

血圧コレステロールの薬の発達により、心筋梗塞脳梗塞などを減らすことができるようになったのは、確かに現代の医学のすごいところです。

しかし一方で、そういった薬を飲まないように努力する、または薬と並行して健康であろうと努力するということが、薬と同様、またはそれ以上に有効です。

そういった、健康でいるための努力をできる人が、どのような人なのかについて、私の常日頃の外来での経験から考えてみたいと思います。


健康でいるための努力は薬以上に大事

私の経験上、血圧の薬を飲み始めたけれども、運動や食事を改善して、血圧が非常に下がって、薬がいらなくなった人は確かにいます。

高血圧治療ガイドライン2014では、「適正な生活習慣の継続および血圧の定期観察を条件に休薬を試みてもよいが、治療前に臓器障害や合併症のないI度高血圧である場合以外は推奨できない」とあります。

ここでいうI度高血圧とは、日々の血圧が140-159/90-99 mmHgの人を指します。 I度高血圧であっても、高血圧によって既に心臓や腎臓に障害があるなど、他の臓器に影響がある人は、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症を起こさないために、薬は続けなくてはいけません。

実際のところ、I度高血圧の人で薬をやめられた人は、減塩やカロリー制限などを継続し、日々の適切な運動も行っていました。

I度高血圧で合併症がなくても、多くの人は初めのうちはしっかり健康な生活習慣を続けられるのですが、やがてやめてしまい、薬を飲み続けることから脱却できません。

また、薬をいつまで飲めばいいんですか?という方に限って、このような努力をされていないことが多いです。

そもそも薬も大事ですが、薬を飲んでいるから不摂生をしてもよいというわけではありません。

未来の健康への投資という考え方をする

では薬がいらなくなるような人たちは、なぜそのような努力をできたのか見てみますと、自分の中で健康に対するモチベーションを明確に作れていました。

「年とって脳梗塞にはなりたくないからね」とか、「家族のことがあるから健康でいないと」など、はっきりとした長期的な目標を持っています。

当然のことですが健康になる」というのは、短期目標ではなく、長期目標なのです。 10年後、20年後の自分を想像し、その未来の自分にむかって、健康のために今から時間や努力の投資をするという考え方が非常に大切です。

自分への投資だと言って、英会話やビジネススクールなどに通われる方も多いですが、これと同じ視点で、健康に取り組むことが重要なのです。


いかに努力を生活に組み込むかをよく考える

健康というのは長期目標なので、短期にたくさんのことを成し遂げても得られるものではありません。 運動や食事の見直しなどは、短期的に厳しくしても、結果として残りません。

健康診断の異常値などを自分の努力で正常にした人たちは、毎日少しだけの努力を、うまく生活のサイクルに組み込むことに成功した人たちです。

例えば運動を例に挙げると、高血圧治療ガイドライン2014では、推奨される運動は「10分以上のややきついと感じる程度の有酸素運動を、1日合計30分」とされています。

これは早歩きや自転車通勤などでも十分置き換えられる程度の運動です。 そして続けるためには、運動のために時間を確保するのではなく、生活サイクルの一部をこの運動に置き換えるという考え方が大事です。

いかに努力と感じないようにするかを考える

ジムに通う、毎日ランニングをする、ということを続けられる方もいますが、それよりも運動を生活に組み込んでしまったほうが簡単です。

強引にあまった時間を、そういった努力のために確保するのは大変で、続けられる方が少ないのが実際のところです。

しかし日々の少しだけの努力をあなたの生活に組み込み、長く続けることができれば、10年後、20年後のあなたの健康にとって必ず役に立ちます。

大切なのは、いかに自然に努力を生活に組み込み、それを努力と感じないようにするかです。

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まとめ

健康でいるためには、将来の健康のために、日々少しずつの努力を投資するという考え方が大事です。

その際には、努力のために余計に時間を確保するのではなく、今のあなたの生活のほんの一部を置き換えるという考え方が重要です。

10年後、20年後にどうありたいか、を想像することが、そのための大切な一歩となります。