医者って結局は理系人間?|医師という人種について

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最初に誤解をさけるためにいっておきますが、私は決して理系の人間が劣っているとか優れているとか言うつもりはありません。

医者という人種にとって、医学知識のための理系科目以外に、勉強しなくてはいけないものがありますよねという話をしたいので、理系人間という言葉をあえて使ってみました。

では、その勉強しなくてはいけないものについて、書いていきたいと思います。


医者から見て今の医学教育は完璧か?

私は、大学受験では理系科目を専攻して受験勉強を行い、その後、医学部で医学の専門教育を受けました。

しかし医師になった現在、日々の診療で求められるものは、患者さんとの良好なコミュニケーションを構築する能力です。

病理診断医や、研究だけを行う医師など、そのような能力を求められない医師もいますが、一般的な多くの医師にはその能力が求められます。

しかし医師になる人種は、大学時代には世間一般のキャンパスライフとは遠く離れた、専門性に閉ざされたカリキュラムに放り込まれています。

そして、実際に医療者として患者さんと会話する機会というのは、早くても大学の最後の病院実習などであり、積極的にコミュニケーションに関する教育というものを、受けていない人種だと思うのです。

医者は患者とのコミュニケーション能力をどうやって身につけるのか

多くの医師に対して、当然ながらまず求められるのは基本的な医学知識です。

医学的な知識、そしてその知識の応用能力を学生時代に机上で学び、臨床の現場でそれらをアウトプットすると同時に、勉強を続けます。

基本的な臨床能力は医師としてなくてはならないものであり、医師を育てる上で学生時代から一貫して、まず医学的知識を身に着けることが重視されます。

これはあたりまえのことですが、自分の学生時代を振り返って考えるに、そのような医学的な知識は確かにしっかりと身についたと思います。

しかし、いかに患者さんと良好なコミュニケーションを築くか、いかに患者さんが求めているものを会話の中から引き出すかという技術は、ほとんど教わらなかったのも確かです。

実際のところ、コミュニケーションに関しては、医療の現場に出てから経験で学んでいったものであり、誰かが教えてくれるというものではありませんでした。


コミュニケーション能力は医療の質のために大事

専門性が同じであれば、今の日本においてそれぞれの医者から受けられる医療の質というのは、そんなに大きな差はないと思っています。

そして患者さんが、主治医をよい医者か悪い医者か評価する際に、医療の質も考慮されていますが、主治医のコミュニケーション能力も大きな割合を占めます。

話を聞いてくれなかったり、冷たい態度をとったりする医者は、当然誰だって避けたいですよね。 そして患者と医者のコミュニケーション自体、医療の質に関わってくるものだと思います。 患者側からささいなことでも質問しやすい、ささいな情報でも伝えやすいという関係がある上で、高度な医療が成り立ちます。

いくら有名な医師だからといっても、自分とは人間的に合わないなという医者だったら、主治医を変えることを選択肢として考えてもよいと私は思います。

コミュニケーションに関する教育が、もっとあってもよいのでは

多くの病気において、治療には長い時間がかかります。よって医者とも長い付き合いになっていくわけです。

しかし現実には、残念ながら、コミュニケーション能力に乏しい医者がいるのも確かです。 医者というのは、医療のプロですから、「コミュニケーションは苦手です」で許される職業ではありません。

実際、患者と医者という両者の間には、たびたび考え方のズレがでてきて、ときにはトラブルにもなります。

患者と医者との間をもっと埋めるためには、医学教育の段階から、コミュニケーションに関する教育をもっと積極的に導入してもよいのではないかと思います。

具体的にどうやって教育すればよいのだろう

コミュニケーションの教育っていっても、じゃあ具体的に何をやらせるのよって話になってしまいます。

実際のところ、医学部教育の中に、ちょっとした会話や面接の勉強はあります。 しかし、医療の現場に出て、本当に求められるのは、数ヶ月または1年かけて、一人の患者さんとどう打ち解けていくか、とか、数年以上にわたって一人の患者さんとどう向き合っていくかという能力です。

これは私の個人的な意見になりますが、医学部は6年間と非常に長いので、医学知識の勉強と並行して、この6年間をめいいっぱい使って、世代の異なる人間との関係を構築していくトレーニングをしたらよいのではないかなぁと思いました。

趣味も価値観も全く異なり、年代も全く違う赤の他人と、6年かけてどこまで親しくなれるか、お互い分かり合えるか、医学生のうちにやってみたら医者になってから役立つ経験になると思うのですが、どうでしょうか。

まとめ

多くの医者は、医学知識に関する教育をみっちり受けて、医師国家試験を経て、医者になっているわけです。 この教育の過程に、コミュニケーションに関する教育をもっと取り入れてもよいのではないかと考えます。

コミュニケーション能力の高い医者を作るという教育体制が、医療の質の向上に役立つのではないかと思います。