健康診断でレントゲンに異常ありといわれたら何科にかかるべき?

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上の写真はインターネット上から引っ張ってきた画像で、正常なレントゲン画像です。右と左に黒く映っている部分が空気を含んだ左右の肺で、肋骨がその裏にうすく映っています。

真ん中にある水滴のような形の白い部分が心臓です。ちなみに右側の乳房の影だけうっすらと見えて、左の乳房の影が見えないのですが、乳がんの手術後の女性なのでしょうか。

それはいいとして、健康診断の結果で胸のレントゲンで異常と言われたことがある人、けっこう多いはずです。

結果が要受診となっていたら早めに病院で精密検査を受けなくてはいけません。

ここでは胸のレントゲン写真での異常に関して、何科にかかるべきなのかを説明していきたいと思います。


あなたの検査結果は肺の異常?心臓の異常?

胸のレントゲンで見ているものは、主には心臓です。しかし後述する縦隔(じゅうかく)、横隔膜などの異常も見つかります。

詳しく説明しますと、健康診断の異常診断項目は、肺野、肺門部、胸膜、心臓、大血管、縦隔、横隔膜、骨格系に分かれて記載されます。

それでは、それぞれの異常について、どの病院にいくべきか見ていきましょう。

胸部レントゲンでわかる肺の異常って?

最初に肺について説明します。まず健康診断のレントゲンで、肺に関連する異常所見として、肺野胸膜肺門部の異常があります。具体的に説明すると、

  • 肺野 → 肺のある部分
  • 胸膜 → 肺の外側や胸壁の内側などを覆う膜のこと
  • 肺門部 → 肺の内側中央部分で血管や気管などが肺に出入りするところ

になります。

検査結果では、肺に関連する異常であれば、例えば「左肺野腫瘤影」など、肺のどこにどういった異常があるのか記載されているはずです。

胸部レントゲンでわかる心臓の異常って?

次に、心臓血管系の異常の場合、心臓の異常大血管の異常があります。 心臓の異常であれば、「心陰影拡大」など、心臓がどのように異常に写っているのか記載してあります。

また、大動脈の異常であれば、例えば「大動脈拡張」のようにどのように異常なのかが記載されているはずです。

肺や心臓の異常の専門は何科?

肺に関連する異常、心臓血管系の異常、両者ともにとりあえず一般内科にかかれば、必要に応じて専門科に紹介してもらえるので、正しい診療の道筋を進むことができます。

しかし、より専門性に合った受診科ということになると、肺関連の異常であれば呼吸器内科、心臓血管系の異常であれば循環器内科になります。

また、肺の異常であっても、例えば肺がんで手術が必要ということになれば最終的には胸部外科や呼吸器外科で手術ということになりますし、血管の異常で大動脈瘤で手術が必要であれば心臓血管外科に紹介された上で手術を受けるということになります。

しかし、最初の窓口としてかかるべきなのは、肺に関連した異常であれば呼吸器内科、心臓血管系の異常であれば循環器内科で大丈夫です。

縦隔(じゅうかく)、横隔膜、骨格系の異常は何科?

健康診断の結果に縦隔と書いてあるけどこれなに?

また、次に縦隔(じゅうかく)の異常について説明します。右と左の肺に挟まれていて心臓や食道、気管などの数々の臓器がある部分を、医学的に「縦隔(じゅうかく)」といいます。

この縦隔の異常は、最初から何科と決めるのは少々難しい領域です。 縦隔に腫瘍があるのであれば、胸部外科や腫瘍内科などの領域になりますし、縦隔には大血管もあるので大動脈瘤などの血管の異常であれば、心臓血管外科の領域となります。

また、肺の異常によって縦隔が引っ張られるというケースもありますので、そのような場合だったら呼吸器内科が相談するべき科になります。

縦隔内での気管の位置がおかしいという場合に、甲状腺の腫瘍などが見つかることもあり、その場合は内分泌科の領域となります。

このように縦隔の異常の原因は多岐にわたるので、健康診断のレントゲンで縦隔の異常とあったら、特定の専門科にいくというよりは、まず一般内科にかかって判別してもらうというのがよいといえます。

横隔膜の異常と言われたら?

次に横隔膜ですが、横隔膜は胸とお腹の間にある筋肉の膜です。呼吸のために重要な器官で、レントゲンでいうところの肺野の下端に膜状に存在していることになります。

横隔膜の位置の異常は胸部側の原因でも起こりますし、腹部側の原因でも起こり得ます。

横隔膜は肺に接する膜であり、一般的には内科または呼吸器内科で詳しく調べてもらうことは可能です。

しかし、胃の空気が食道側にまで写っていて食道裂孔ヘルニアが疑われる場合や、肝臓の腫大が疑われる場合など、明らかに消化器の異常が疑われる記載があれば、消化器内科への受診が勧められます。

骨格系の異常と言われたら?

最後に骨格系の異常についてですが、これは背骨が曲がっている側弯症や、偶然見つかった肋骨骨折などが含まれます。

骨に関する問題なので、一般的には相談するべきは整形外科になります。


肺に影があるとどんな精密検査を受けることになるの?

胸部レントゲンで肺に異常な影があると、疑う病気にもよりますが、採血で腫瘍のマーカーや、肺に感染しやすいウイルスや細菌の抗体、さらに特殊な肺炎のマーカーなどを調べます。

また、レントゲンは基本的に胸の部分を前後に投影した写真ですが、これをより詳しく見るためにCTの検査で、体の水平方向に輪切りの写真を撮って異常な影の部分が何なのかを調べます。

さらに、痰が取れるのであれば、痰を検査に提出してもらい、がん細胞のような悪い細胞がいないか、結核などの怖い菌がいないかなどを調べます。

心臓血管系の異常が疑われるとどんな精密検査を受けることになるの?

一方で、胸部のレントゲンで心臓の写り方に異常があるという場合、当然ですが心臓の精密検査を受けることになります。

心電図検査を再度確認し、また、心臓の動きや大きさ、逆流を防ぐ弁などに異常がないか、心臓の超音波検査を行います。

また、大動脈が拡大しているなどの疑いがあれば、CTの検査でその部分が本当に拡大しているのかどうか確認することになります。

必要に応じて、不整脈がないかどうか調べる24時間の心電図の検査(ホルター心電図検査)や、心臓の栄養血管が詰まっていないか調べる心臓CTの検査などで、より詳しく調べていきます。

縦隔に異常なものが写っているとどんな精密検査を受けることになるの?

また、レントゲンで縦隔に何か異常なものが写っているという場合、肺の影と同じく、CTの検査でその部分をより詳しく調べます。

レントゲンで縦隔の異常があるというケースでは、多くの場合何か異常な構造物が縦隔にある可能性が考えられ、腫瘍や動脈瘤などの可能性を疑って検査が勧められます。

必要に応じて、造影剤を注射してCTを撮影し、血流を白く写すことで、縦隔にある異常なものが何なのか、詳細な診断に役立てます。

また、縦隔の腫瘍が疑われるという場合には、各種腫瘍マーカーに加えて、MRIやPETなどのより詳細な画像検査を行う可能性があります。

横隔膜の位置に異常があるとどんな精密検査を受けることになるの?

横隔膜の位置が異常という場合、胸部の臓器の異常で横隔膜が引っ張られるか、腹部の臓器によって押し上げられるかのいずれかが原因となります。

よって、胸部と腹部についての両方を調べることになります。 レントゲンによって胸部に明らかな異常がないのであれば、腹部の超音波の検査やCTの検査によって、横隔膜を押し上げるような異常がないかどうか調べます。

また、胃の空気が横隔膜をすり抜けて食道の方まで写っているという場合、食道裂孔ヘルニアといって、胃と食道の境目が胸部の方に出てしまっている可能性があります。

このような場合、胸やけや胃痛などの症状があれば、胃の内視鏡の検査で詳しく調べることになります。

骨格系に異常があるとどんな精密検査を受けることになるの?

異常の種類にもよりますが、例えば学童期に見つかった側弯症などでは、整形外科医の診察を受け、装具治療が必要か、場合によっては手術が必要かを判断してもらうことになります。

偶然見つかった肋骨骨折では特に必要な治療はありませんが、がんが骨に転移して起こった病的な骨折などでは、CT検査などを含めた全身の詳しい検査を行うことになります。

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レントゲンで異常があると必ず病気なの?

ここまでいろいろ述べてきましたが、健康診断のレントゲンで異常と言われたからといって、必ずしも病気というわけではありません。

レントゲンの所見だけで明らかな病気だとわかるケースもありますが、多くは「正常と言い切れないので詳しい検査が必要」というケースです。

健康診断はあくまで、精密検査が必要な人を見つけるための検査なので、異常と言われたからといって落ち込む必要はありません。

ただし、だからといって異常と言われたのに放っておくのではなく、きちんと精密検査を受け、不安をしっかりと取り除くことが大事です。 

まとめ

健康診断の胸部レントゲンで異常と言われたら、肺や縦隔の異常であれば呼吸器内科を、心臓の異常であれば循環器内科を受診しましょう。

何科にいけばよいか判断がつかないような場合には、一般内科で相談しましょう。

健康診断で異常だから必ず病気というわけではありませんが、きちんと受診して精密検査を受けて、病気の早期発見に役立てましょう。

参考文献)
綜合臨牀 54(6):1915-1927:2005
診断と治療 93(9):1411-1418:2005