熱中症だと思ったら|何科にかかるか、いつ救急車をよぶか
炎天下や熱のこもった場所で、熱中症かもしれないという人が出た場合、どのように対処するべきか知っておくことは大切です。
ここでは、熱中症が疑われる人がいた場合に、どのようなときにどの病院へいくべきなのか、書いていきます。
まず涼しい場所で水分・塩分補給と冷却を
熱いところで過ごしたのちに、めまいや立ちくらみ、こむら返りや筋肉痛などの症状が出てきた人がいた場合には、速やかに日の当たらない涼しい場所に移動させ、休憩させましょう。
まず最初に確認するべきは、意識の反応がしっかりしているか、口から水分を自分で飲むことができるかです。
反応がおかしい、水が飲めないという場合には、後述するようにためらわずに救急車を呼んでください。
首の部分などがきつく締まるような服装は、熱が逃げにくいので、服をゆるめ、冷やしたタオル、氷などでからだを冷やします。
冷えた缶ジュースの缶などがあればそれも有効です。 体を冷やす場合に有効なのは、首周り、脇の下、足の付け根などの、動脈が触れる場所を冷やすことです。
下記に図を示します。
熱中症の際に冷却するべき場所
具体的には、首の前側の右と左には頸動脈が通っており、脇の下には腋下動脈が通っていますので、ここを冷やすことで有効に体温をさげることができます。
足の付け根というのは、パンツをはいている場合にパンツの生地から足がでてくる境目あたりの部分です。この部分に大腿動脈の脈が浅く走っており、冷却に関して有効な部位となります。
また、熱中症が疑われる場合に大切なのは、水分と塩分を補給させることです。
水と塩飴などの塩分を含む食品を両方摂ってもらうのでもよいですが、スポーツドリンクや経口補水液などがより有効です。
これらの対応で症状がよくなれば、そのまま様子をみてもよいですが、その際に確認するべき大切なことは、やはり意識の反応がしっかりしているかどうか、口から水分を自分で飲むことができるかどうかです。
症状の改善がなければ受診を
上記の対応で症状がよくならない場合には、医療機関への受診が必要です。
また、頭痛や吐き気、体がだるく力が入らないという症状がある場合や、集中力や判断力が落ちているという場合にも、医療機関への受診が必要です。
その際、かかるべきは内科の病院、または救急外来ということになります。少なくとも採血検査ができて、その場で結果が出るような病院であることが必須です。
熱中症の重症度を調べる上で、症状の他に肝臓や腎臓の機能が保たれているかを確認するためには、採血検査が必要になります。
小さいクリニックなどでは、採血検査がすべて外注で、結果が届くのが翌日以降というところもありますので、事前に電話で確認しましょう。
当然ですが一人で受診させるのは、たとえ現場では自分で歩けても途中で倒れる危険があります。必ず誰かが付き添って病院に連れて行くようにしましょう。
また、病院までの距離が遠いのであれば、途中で倒れるリスクを考えて、ためらわずに救急車を利用するべきです。
迷わず救急車を呼ばなくてはいけないケースは
熱中症で迷わず救急車を呼ばなくてはいけないケースは、口から水分補給ができない場合、歩けないほどふらふらしている場合、意識障害がある場合です。
口から水分が取れない場合には、放っておくと熱中症はどんどん進行しますので、病院で速やかに点滴で水分補給をする必要があります。
病院につれていこうとしても本人が歩けないような場合には、重度の脱水があり、熱中症が進行していると考えられますので、無理をさせずに迷わず救急車を呼ぶべきです。
意識障害とは、話しかけても反応が普通でない、会話の様子が普段と比べておかしいという場合、意識がないという場合です。
全身のけいれんなどがあれば、それも迅速に救急車を呼ぶべきサインです。 話しかけても反応が鈍いような場合、少しでもおかしいと思ったら迷わず救急車を呼んでしまうべきです。
熱中症の最重症型である熱射病では、過度の高体温のために脳が機能不全となり、意識が障害され、体温調節機能が働かなくなり、最悪の場合死に至るケースがあります。
反応がおかしいという症状は、この熱射病の重要なサインですので、迷わずに救急車を呼んでください。
まとめ
熱中症かも、という場合にはまずまず涼しい場所で水分・塩分補給と冷却を行います。
口から水分が摂れない、歩けない、意識がおかしいという場合には、迷わず救急車を呼んでください。 普段から熱中症の予防を心がけることが大事ですが、
救急車を呼ぶべきときには、ためらわずに行動をお願い致します。
参考文献)
熱中症の分類と病態 発汗学 20(2):80-82:2013
厚生労働省 熱中症予防リーフレット