医者や看護師が嫌い|病院が苦手なまま大人になってしまったあなたへ
病気がかなり進んでしまうまで、家でずっと我慢している方が少なからずいらっしゃいます。
そういう方を見るたびに「なぜもっと早く来てくれなかったんですか」と言いたくなることがあります。
仕事が忙しいとか、他の人に迷惑をかけたくないとか、いろいろな社会的な理由はあると思います。
しかしその中の多くの人で、根底に「病院が苦手」という意識があるように感じています。
そのような人や今後そうなるかもしれない人へ、病院を気軽に受診するようになってほしいと切に願っています。
そこで、どうやったら苦手意識をなくせるのか、試験的ではありますが考えていきたいと思います。
病院が苦手な人は大きく2つに分かれます
「病院が苦手」という方の意識は、大きく2つにわかれるように思います。
一つは、「医療者を信用できない」という感覚を持ってしまっている方です。
医療ミスのニュースが毎日のようにテレビやインターネットで流れている現在、そういう感覚を持たれることは当然かもしれません。
また、おそらく過去に実際に医療者が信用できなくなるような経験をされているという方に対して、医療者として責任を感じるとともに、残念に思えてなりません。
またもう一つは、「病院が怖い」という意識が前面に出ている方です。 このような方々は、医療に対して信用がないわけではなく、むしろ現代医療の有効性に関しては理解してくださいます。
しかし、いきなり入院してくださいとか、手術しましょうとか言われるような気がして、怖くて受診に積極的になれないという方です。
こういった方々であっても、なんとか苦手意識を克服してもらい、自身の健康のために積極的に病院を利用していただけないかと思っています。
医療者を信用できないという考えを持つ方へ
何か健康に不安なことがあっても、以前の経験から病院や医師を信用できないという方に、知っておいていただきたいことがあります。
それは、すべての病院、すべての医師はみんなそれぞれ違っているということです。 不幸にして医療者を信用できないような経験をされたとしても、それがすべての病院、すべての医療者によって繰り返されるわけではないと、知っておいてください。
そのような不幸な経験のために、病院に行くべきときに病院に行かないということにならないようにしていただきたいと願っています。
そして、あなたは病院を選ぶ権利、医療者を選ぶ権利を持っているということも、また知っておいてください。
非常に多くの選択肢の中から、あなたは自分のためにより良い病院、より良い医療者を選ぶことができるのです。
病院が怖いという意識を持ってしまった方へ
病院に行くと、何もわからないままいろいろなことをされてしまうようで怖い、という方にも知っておいていただきたいことがあります。
もしかしたら、子供の時に無理やり病院に連れて行かれた感覚が焼き付いているような方もいるかもしれません。
しかし、もし医師や看護師の説明がわからないときには、納得のいくまで質問していただきたいと思っています。 そして納得がいかないのであれば、「家で家族と相談してまた来ます」でも構いません。
子供のころは無理やり病院に連れて行かれ、何もわからないままいろいろな処置をされた経験もあるかもしれません。
しかし今病院に行って、あなたの同意なしに、そしてあなたの理解なしに、検査や治療が進むことはないのです。 医療者に対して質問すること、他の選択肢を求めることに遠慮はまったくいらないのです。
医療は受け身で受けるものではないと思っています
役所での手続きの相談、銀行などでのローンや保険の相談であれば、相談すべき窓口を適切に選び、言いたいことをきちんと伝えられるはずです。
そのような相談であれば、苦手意識を感じる人はあまりいないと思います。 病院に関しても同じように、自分の健康に関して困っていること、考えていることを相談する窓口として、もっとうまく使うことができるはずです。
医学の専門知識がないから医療者に任せるしかない、という考えは正しくありません。 医療者は、何か健康や病気に関して困ったこと、相談したいことがあれば、気軽に、そして積極的に病院を利用してほしいと考えています。
そして、医療の専門家を自分の健康のためにうまく利用し、自分の納得のいく選択肢を探すのが、病院の本来の使い方ではないでしょうか。
まとめ
医療者として、病院が苦手な人が受診するべき機会を逃すことがないように、切に願っています。
病院が苦手であるという人は、受診の判断をするときに苦手意識が邪魔をしないように気を付けていただきたいと思っています。
病院が苦手な方は一回だけでもいいので、病院を苦手とする理由を振り返って、考えなおしてみる機会を作ってみていただきたいと思います。