健康診断で心肥大や心拡大と言われたら|原因は本当に心臓病?

心臓は大事な臓器です

心肥大(しんひだい)とか、心拡大(しんかくだい)とか、何やら心臓が悪そうな言葉ですよね。 健康診断などでこれらの単語を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

私の経験上、外来で「今何か病気お持ちですか?」と聞くと、「昔、心臓が肥大してるっていわれました」とか、「心拡大って健康診断でいわれました」などと言われる方はたくさんいます。

ただ、心肥大や心拡大が何を意味するのか、詳しくご存じでない方がほとんどです。 そこでこれらの言葉がどういった状態を指すのか、実際に健康診断で心肥大や心拡大と言われたらどうするべきか、ここで説明しておきます。


心肥大は心臓の筋肉壁が厚くなること

健康診断で、「左心室肥大」とか「左室肥大」とか「右心室肥大」とか「右室肥大」とか、心臓が肥大していますよ的な診断名をつけられた方はけっこういらっしゃるかと思います。

これらをまとめて心肥大といいますが、これはその名のとおり、心臓が肥えて心臓の壁が厚くなってしまった状態です。

心肥大を風船に例えると、普通の風船よりもゴムの厚さが厚くなっている風船です。伸び縮みしにくい硬い風船をイメージしていただければよいかと思います。

心臓肥大も同じ意味で使われます。そして心肥大を起こす原因は様々です。 例えば、心臓の筋肉が肥大する心筋症の病気があれば、心臓の壁が厚くなって心肥大となり得ます。

他にも、血圧が高いのに治療しないで放っておくと、心臓に負担がかかって心肥大になることがあります。さらに心臓の弁の病気などを含めたいろいろな病気によって心臓の壁は厚くなります。

医学的に本当に「心肥大」または「心臓肥大」が存在するのであれば、それは病的と考え、検査なり治療なりをしなくてはいけません。

しかし、知っておいていただきたいのは、「健康診断で心肥大といわれた」ことと、「本当に心肥大である」ことは同じではないということです。

健康診断で心肥大と言われたら循環器内科で相談を

なぜならば、健康診断における心肥大という異常結果は、心電図検査での基準からつけられたに過ぎないからです。

心電図の結果一枚だけでは、本当に心臓が肥大しているのかどうかは確定できません。 心肥大と言われたことがあります!と教えてくれる人のほとんどが、詳しく話を聞くと、健康診断の心電図で心肥大といわれたと教えてくれます。

それは心電図の波形の高さが非常に高く、決められた基準値を越えていたために、「心電図の診断上は心肥大」となっただけなのです。

本当に肥大しているのかどうかは、心臓超音波検査などの画像検査で、実際に心臓の壁の厚さなどを見てみないとわからないのです。

健康診断の心電図は、病気を診断することが目的ではなく、精密検査が必要な人を見つけるのが目的です。

ですので、健康診断の心電図で心肥大と言われたのであれば、循環器内科または心臓内科を受診して、本当に肥大しているのか、だとすればその原因はなんなのかを調べてもらう必要があるのです。


心拡大は心臓が拡大して大きくなること

一方で心拡大も、その名のとおり心臓が拡大してしまって大きくなってしまった状態です。

健康診断の結果には「左室拡大」とか「左心室拡大」とか「右室拡大」とか「右心室拡大」とか書かれているかもしれませんが、これらをまとめて心拡大と呼びます。

心拡大を風船に例えると、膨らみすぎてゴムが伸びきってしまった風船です。頑張って縮もうにも、縮むことができないくらいびろんびろんに伸びた風船だと思ってください。

心臓拡大も心拡大と同じ意味で使います。そしてその原因はやはり様々です。 例えば、心臓の筋肉がペラペラに薄くなってしまう心筋症では、伸びきった風船のように心臓は通常より拡大して大きくなってしまいます。

他にも心臓の弁の病気のせいで心臓がへたってしまった状態,、そして様々な心臓病の最終形で心臓がヘコヘコになる心不全など、いろいろな病気によって心拡大が起こります。

そして心肥大と同じく注意しなくてはいけないのは、「健康診断で心拡大と言われた」ことと、医学的に「本当に心拡大である」ことはイコールではないという点です。

健康診断で心拡大と言われたら、やはり循環器内科で相談を

健康診断で心臓が拡大しているかどうかを見るのは、主に胸のレントゲン検査になります。

しかし、胸のレントゲンで心臓が拡大して見えることと、本当に心臓に病気があって心拡大が起こっていることは同じではありません。

心拡大と言われているという人のほとんどが、実際には胸のレントゲン画像で心拡大といわれただけの人です。

胸部レントゲンで、心臓の横幅が左右の肺の影の大きさに比べて、基準値を超えて大きい場合、レントゲン上の心拡大ということになります。

これも心肥大のときと同様、実際に心臓の超音波検査などで心臓の大きさを確認しないと、本当に心臓が拡大しているかどうかは確定できません。

ですので、やはり健康診断で心拡大といわれたら、やはり循環器内科または心臓内科を受診して詳しく調べてもらう必要があるのです。

心臓の検査はおろそかにしないでください!

心肥大、心拡大の単語を病名だと思っている方が多い

健康診断の「心肥大」、「心拡大」は病名ではなく、一つの検査の結果でしかありません。

外来に来た多くの人が、「昔、心肥大と言われました!」とか、「心拡大があるので無理はしないようにしています!」とか言われます。

健康診断の心肥大、心拡大の検査診断名だけでは、何に気を付けるべきか、どのような治療が必要かは医学的にはわかりません。

実際に過去の健康診断で心肥大、心拡大を指摘され、そのあと受診せずに精密検査を何もされていない方が非常に多いです。

健康診断の「心肥大」、「心拡大」という結果だけを抱えて、「自分は心臓が悪いので・・・」と言って過ごしている人は、早急に精密検査できちんと調べてもらうことをお勧めします。

まとめ

健康診断の「心肥大」、「心拡大」という単語は、一つの検査の結果にすぎません。

それだけで心臓病があるかどうかはわかりませんので、心臓病かどうか精密検査を受ける必要があります。

また、健康診断で心臓の異常を言われたら、心肥大や心拡大に限らず循環器内科や心臓内科を受診し、相談するようにしてください。

そして健康診断で心臓に限らず要受診の項目があったら、必ず専門科を受診して精密検査を受けるようにしてください。