説明が下手な医者に出会ったら|話がわからないのは医者のせい

医者の話はわかりにくいという話をよく聞きます。
実際に、自分も含めて医者は、患者さんに説明するときに、もっとわかりやすく説明できるよう努力するべきだと日々感じています。
これまでに、患者さんの方から医者に自分のことを説明するときに、こうするとわかりやすい、こうするとわかりにくいですよという話を記事にしました。
結論から話し出そう!|話がわかりやすい人はどうやって話している?
相手に話を伝えたいときに一番大切なことは、伝えたい大事なことをまず最初に言ってしまうことです。これは間違いありません。「なんだ、ブログ名とは全然関係ない記事だな」と思われた方、ちょっと待っていただきたい。この話は診察室での会話にとって、とても大事な話なのです。
診察室での会話|説明が下手な人にありがちな話し方を挙げてみる
以前、診察室でいいたいことを伝えるためには、結論から話し出すことが大事という記事を書きました。これは未だに日々の診療で思うことですし、話を聞きながらもっとうまく伝えられるのになぁと思うこともしばしばです。 今日はさらに思うこととして、話の分かりにくい人はなぜ話がわかりにくいのか、外来での経験上気づいた点について書いてみたいと思います。
しかし、これらは逆にすべて医者にも当てはまることです。
そこで今回は、医者の話がわかりにくい理由をあらためて考えて反省していきたいと思います。
そして、不幸にして説明が下手な医者に巡り合ってしまった場合、患者さん側はどうしたらよいのかについて考えていきたいと思います。
病状説明に専門用語を使ってしまっている医者が多すぎる
まず一番最初に挙げられるのは、医学的な専門用語を使ってしまっていることです。
気付かずに使ってしまっている医者が多いですが、これは最も反省するべきことの一つです。
専門用語は、それが意味する内容が学術的に決まっているので、正確に物事を伝えられる反面、わからない人にはまったく意味が伝わらないのはいうまでもありません。
患者さんが他の医者のことを「あの医者は専門用語が多くて言ってることがよくわからない」といっているのを耳にすることが多々あります。私は患者さんに説明するときには極力専門用語を使わないよう気にしていますが、職業病というか、やはり気づかずに使ってしまっていることがあります。患者さんの立場に立って、伝えなくてはいけないことをわかりやすく説明できているか、という点は患者さんにとって良い医者といえるかどうかの一つの分かれ目のように思えます。
医者として有能な人間は、専門用語を使わないことに努力し、時間を費やします。
わからない用語の意味は、会話を止めて確認してしまいましょう。別に遠慮する必要はありません。
医者の方としても患者さんにわかったふりをされてしまうのは避けたいと考えていますので、そのような質問は歓迎してくれるはずです。
早口で説明する医者が多すぎる
これも非常に多いと思います。自分も反省しています。 外来の時間が限られていて、ものすごく混んでいたりすると、多くの医者は自然と早口で説明してしまいます。
外来が混んでいようが、すべての医者はゆっくりわかりやすく説明することを心がけるべきだと思っています。
また、聞き取れなかったり、わからなかったりした部分は、遠慮なく聞き返していただいてかまいません。
これも前の項と同じく、やはり説明を聞いてわかったふりをしてしまうのがお互いにとって一番よくないことだと思っています。
私は、病名や病気のしくみなどをなるべく紙に絵を書いて説明するようにしています。
医者の説明がわかりにくいときには、このように紙に書いて説明してもらうのも一つの選択肢になると思います。
内容を言えばよいと思っている医者が多すぎる
「言った」ことと「伝わった」ことは同じではないのはあたりまえですが、診察室でそのことを理解していない医者が多いと思います。
いろいろと病気についての説明を「言った」あとに、すべての医者は「伝わった」かどうか確認するべきです。
もし、あなたが「説明は以上ですが何かわからない点はありますか?」と確認されなかったとしたら、その医者は「言えばよい」と考えているタイプである可能性があります。
そのような場合、医者の説明のあとに自分の理解した内容を医者に伝えるべきだと思います。
「つまり、私は~という病気で~という治療法があるのですね」というように、自分のわかった範囲はこの範囲ですよと医者に伝えることで、お互いに情報が共有できたかどうか確認するのです。
どれだけ情報が伝わったかを医者に教え、足りない部分をもう一度医者に説明させ、きちんとわかるまで説明してもらうべきです。

結局どうなのか断定しない医者が多すぎる
患者さんが知りたいのは、最終的に大丈夫なのか大丈夫でないのかという点だと思います。
しかし、医療に100%はなく、「この治療さえ受ければあとは何の心配もありません」という医者がいたら逆にあやしいと思っていただいた方がいいかもしれません。
現実には、すべての治療には大なり小なり副作用があり、また、すべての治療は100%効くと約束されるわけではありません。
99.9%の確率で良い結果が期待できる治療があったとしても、0.1%の確率で望まない結果が起きるかもしれないとすれば、きちんとした医者であれば「100%大丈夫です!」とは言いません。
どんな治療や検査であっても、予想され、起こりうる範囲内のことを、医者はあらかじめすべて説明します。
そして医者の説明で最終的に大丈夫なのか大丈夫でないのかよくわからないと感じたら、治療の結果どのようなことが期待できるのか、どのような心配があるのかを患者さんの側から確認したほうがよいと考えられます。
まとめ
説明が下手な医者というのはまだまだ多く、自分も含めて多くの医者は反省するべきだと感じています。
不幸にして説明が下手な医者に巡り合ってしまったとしたら、わからない点を確認するのに遠慮するべきではありません。
医者に自分の理解した範囲を伝えてもう一度説明してもらう、紙に書かせるなど、わかるまで付き合ってもらい、わかったふりをしないことが大切です。