医者がメールやTwitterで病気の相談に乗りたがらない理由

インターネットを介した医療相談について

医者という職業を明かして、Twitterやブログをやっていますと、少なからず個人的な病状についての相談というのが来ます。

私はインターネットを介しての医療相談は基本的に受け付けないと決めています。 「ブログをやっているのにインターネット上で相談を受けないなんてケチな医者だな」という意見も聞こえてきそうですが、問題の本質は少し違います。

世の中には、インターネット上でアドバイスをしている医師もいるようですが、これには様々な危険性があり、私にはとても真似できないことだと思っています。

そこで、私がインターネットを介して個人の病状の相談を受けない理由について、ここで書いておきたいと思います。


医療は主観的情報と客観的情報の二つを合わせて行う

最初に、ふつうの場合に医者が診療をするときに、どんな情報をもとにして医学的な判断をするかを述べておきます。

医者が診療をするときに必要な情報は、大きくわけて二つあります。 それは「主観的情報」「客観的情報」です。

「主観的情報」とは、患者さんが自分で説明してくれる情報です。 どんな症状がいつからあるのか、これまでどんな病気をしてきたのか、などなど、患者さん自身が説明してくれる情報はすべて主観的情報となります。

つぎに、「客観的情報」とは、患者さん自身が説明してくれること以外の情報です。 診察所見、検査の結果などのことです。紹介状などがあればそれも客観的情報です。

この「主観的情報」と「客観的情報」の二つがそろってはじめて、医者は医学的な判断ができるようになるわけです。

インターネットを介した相談では主観的情報に限られてしまう

メールやコメント欄、Twitterなどのインターネット上のやりとりでは、医者が患者さんから得られる情報は主観的情報のみに限られてしまいます。

医者は、患者さんの主観的情報のみをたよりに、医学的判断をすることは避けたいと考えています。 集めるべき量の半分に満たない情報だけをたよりに、医学的に適切な判断をすることはほぼ不可能だからです。

たとえてしまうと、インターネット上の医療相談は、知らない相手に対して姿を見ずに洋服のコーディネートの助言をするようなものです。人それぞれ似合う服は違いますから、本人を見ずに似合う服を助言してもそれが本当に合うかどうかはわかりません。

また、これは当直の電話相談でもあてはまることなのですが、そのように情報が集められない状態で相談に乗っても、最終的には「不安であれば医療機関を受診してください」という返答になるのが最初からわかっています。 ですので、私はインターネットを介した医療相談は行わないと決めています。


お互いの顔が見えないと医者も不安を感じる

私の個人的な経験でも、患者さんが重要だと思う症状と、医者から見て重要な症状にズレがあった例は多々あります。

電話で相談を受けた患者さんを実際に診察すると、想像とまったく違う状態だったという経験は数えきれません。

中には、インターネットを介して採血結果などを一緒に送ってくる人もいらっしゃいますが、一部の検査結果だけではやはり不十分です。

なによりインターネットを介した相談では、実際に顔を見て診察をすることが不可能であり、この情報の不足に関しては絶対に埋められません。

逆に、インターネットを介した相談で、こうすれば100%治りますよみたいなことを言う医者がいたら、その医者は信用しない方がよいと思います。

インターネット診察は危険?

インターネットを介した医療相談はあまりおすすめしません

そもそも、インターネットを介して、自分の病状を会ったことのない医者に相談することは、あまりお勧めできません。

上記の理由で、情報が不十分な状態で相談しても、実際に診察した医者の答え以上の答えは返ってこないと考えられるからです。

そしてなによりもう一つ注意するべきことは、インターネット上で相談した相手が本当に医者かどうか確認するのが非常に難しいということです。

いってしまえば、このブログを書いている私は医者だとプロフィールに記載していますが、そもそもそれは誰がどうやって確認できるのでしょうか。

怖い例だと、医者を装ってホームページを作成し、効果のない民間療法を売りつける業者だってあります。

インターネットで匿名性がまかり通ることを逆に利用して、藁をもつかむ想いの患者さんに、実際に藁を高額で売りつけるようなホームページが存在することを知っておいてください。

まとめ

インターネットを介しての医療相談を私は行っておりませんし、そもそもお勧めできるものではありません。

インターネットを介した情報のやりとりでは、医療相談ができるような情報の質を保証できないということを、知っておいていただければと思います。