Googleの検索エンジンは医学情報の正確性を評価できないという問題

検索エンジンを使うときの注意

私がブログを書くようになって強く感じるのが、検索エンジンの順位付けは情報の正確性とは関係ないということです。

これは特に医療に関する分野においては、情報を調べるときに知っておかなくてはいけないことだと思いますので、今日はこれについて書いてみたいと思います。


検索エンジンはロボットである

検索エンジンに上位に表示されやすいようにすることを、検索エンジン最適化(SEO:Search Engine Optimization)というそうです。

たとえばGoogleは、サイトの運営期間や、訪問者がページに来たときの滞在時間や、キーワードの配置などを含めた様々な点を評価して、順位を決めているわけです。

これに対して検索順位がより上位になるように、サイトを最適化する方法があるわけです。

実際にSEOを専門とされている方々が、検索の上位を達成するための様々なノウハウを公開しています。

これらを読んでみると気になる点があります。 訪問者の興味を引いてしっかり読まれる記事ほど上位に表示されるわけですが、今のところそこに情報の正確性という判断基準はないということです。

というか、結局のところロボットが判断しているようなものなので、医学情報が正確かをロボットが判断することはそもそも困難です。

そのため、検索エンジンの検索結果で順位が上に来たサイトだから情報が正確であるとは限らないのです。

しかも上の記事から考えると、たとえ正しくない情報でも訪問者に興味深く読ませるように工夫をすれば、上位に表示されてしまうということになります。

病気の情報などをインターネットで検索する際には、まずこのことをしっかり知っておかなくてはいけません。

インターネットの情報は想像以上に嘘が多い

実際に病気の治療法などについてインターネットで調べてみると、医療の現場で働いている私が聞いたこともないような治療法が書いてあったりします。

医者の視点から見ると、インターネット上の情報について、それが正しいのか正しくないのかは見るだけである程度わかります。

あまりに専門外のものに関しては、論文を調べたりなど時間が必要ですが、それでも最終的に判断することができます。

われわれ医者が、自分でそれらの医学情報が正しいのか嘘なのかを判断しようと思ったら、その手順は主に3つあります。


① 書いた人間がどのような人間であるか記載されているか

まず、記事を書いた人間がどのような人であるかを確認します。 医療の現場にいる医療関係者であるのか、そうでないのかを確認するだけでも、記事の信憑性をある程度推測することができます。

記事を書いた人間が実名を出している医師であれば、多少は信憑性は高いといえるかもしれません。

しかし、本当にその人が書いたのかどうかわからないという問題もあり、実名で堂々と間違った治療を勧める医者も実際いるので、これだけでは判断できません。

また、書いた人間のプロフィールすらわからないサイトというのは、その情報を信用する前に慎重に確認したほうがよいといえます。

② 参考にした文献が記載されているか

病気の治療法についての情報の場合、社会的に効果が認められている治療であれば、必ず元となる文献が存在します。

それも、日本語の文献だけで社会的に認められる治療というものはまずなく、引用元を追っていけば必ず英語の論文にたどりつきます。

私たち医療従事者は、最終的に元になる英語論文を読み、その情報が本当に正しいのかどうかを判断します。

そもそも参考文献を記載しないと、その医学情報の信憑性の評価は難しくなります。 医療業界にいる人間が、正確な情報を発信して読み手に信用してもらおうとしたら、必ず参考文献を記載しようと考えます。

ですので、参考文献がないという時点で、信用してもらおうという努力に欠けている、または情報の正確性を裏付ける参考文献がそもそも存在しないという可能性が考えられます。

また、参考にしている情報として、経験者の声と題して匿名の人の経験談を多く載せているサイトもありますが、これは情報の正確性を裏付けるものではありません。

個人の経験による情報は、それが多くのほかの人にあてはまるという保証はなく、そもそも書き手の都合でなんとでも書けてしまうので注意が必要です。

さらに、どんなに情報を追っかけて行っても最終的に特定の個人の日本語の著書しか出てこないという場合は、その情報を信じるかどうかに関してかなり慎重になったほうがよいといえます。

③ 治療ガイドラインで評価されているか

既に社会的に認められ、日本国内で行われている治療であれば、学会が発行する治療ガイドラインに記載されて評価されているはずです。

治療ガイドラインというのは、これまでの海外での治療経験まで含めた論文をまとめ、現状で推奨される治療法をまとめています。

われわれ医者は、自分の経験だけで治療法を決めているわけではなく、治療ガイドラインを参考にして考えています。

ガイドラインではただ単に推奨される治療法を並べているだけでなく、多くの論文のデータの症例数や結果を参考にして、それぞれの治療法を段階的に評価しています。

多くの研究結果で良い結果が出ている治療法なのか、データがまだ少なく行ってもよいかもしれないくらいの推奨度なのか、行うべきではない治療なのかの順位をつけているわけです。

治療が新しすぎて載っていないという場合を除けば、ガイドラインにまったく出てこない治療は、少なくとも現時点ではその効果が期待できるというデータが存在しないと考えられます。

でたらめ医療を売りつける悪徳サイトがあります

悪徳サイトは信用のない情報でしか騙そうとできない

このように、インターネット上の医学情報が正確かどうかという点に関しては、慎重な評価が必要になります。

上に挙げた3つの方法のうち、①の書いた人間がどのような人間かに関しては医療者でなくてもわかります。

しかし、②の参考文献に関してと、③の治療ガイドラインの話に関しては医療者でない方にはなかなか難しいといえます。

だからこそ、高額で効果のない民間療法を売りつけるようなサイトが存在しているのも事実です。

前述のように、内容が正確でなくても、専門家にお金を払って検索エンジンの最適化をほどこせば検索の上位表示が達成されてしまうのです。

そのようなサイトは、効果のない民間療法をすすめる際に、たとえば個人の感想を前面に押し出してきます。

場合によっては、芸能人などの著名な人の名前を出し、訪問者を信用させようとしますが、個人の経験は情報の正確性を保証するものではないということを知っておく必要があります。

また、社会的に認められた医学的な治療というものは、「効果があると証明された」ものに限ります。

悪徳なサイトをやっている人間の心理は、おそらく「効果がないとは証明されていない」ということを盾にしていると考えられます。

そのまま「効果がないとは証明されていない」といえばうさんくさいですが、これを「効果があるかもしれない」という言葉に置き換えて、さらに有名人などの個人の経験をくっつけて宣伝しているわけです。

「効果があるかもしれない」ということと、「有名人の成功例」が並べば信用してしまいそうになりますが、両者はともに医学的な信憑性としては低いものです。

この組み合わせは一例にしかすぎませんが、そのサイトが信用を得るためにどのような情報を前面に押し出しているのかを確認することで、信用できるかどうかの手がかりが見えてくるはずです。

将来的にインターネットの医療情報の信頼性は上がるかもしれない

一方で、Googleなどの検索エンジンを作っている会社から見れば、検索して正確な情報を表示できないのでは利用者からの信用が得られません。

現状の医学に関するインターネットの情報の順位付けは、検索エンジンを提供している側にとっても望ましいものではないはずです。

これに対してGoogleは、将来的に著者情報を検索結果の順位に応用しようとしているようです。

実用化にはまだまだ時間がかかるようですが、これが実現できれば確かに信用できる人間が書いた医療情報が検索上位に並ぶことになるかもしれません。

当ブログのような匿名で運営している個人ブログは検索の下位に追いやられるかもしれませんが、大きな総合病院などが発信する病気の情報ページなどが検索順位でもっと評価されてもいいのではと思っています。

現実として病気に関して検索すると、医療機関が作成するページを差し置いて、Yahoo!知〇袋が上位に来ているのはどうなのかなぁと思います。

情報の正確性を評価するシステムが必要

考えてみると情報が正確かどうかを判断するのは、それを読んだ第三者にしかできないわけです。

いまのインターネットは、SNSのボタンなどは普及してきたものの、情報の正確性を評価してフィードバックするシステムはないに等しい状態です。

医学の情報をインターネットで有効活用できるようにするためには、訪問者がその情報の信憑性を評価するシステムが必要です。

誰かによって記載された情報を、信用できる著者情報をもった他の人間が評価し、それを元に検索エンジンが順位をつけていくようになるべきです。

それによって悪い評価しか得られない情報は検索の上位から排除され、正確で有用な情報だけが残るようにしないと、インターネットは医療情報の検索に耐えるものにはなりません。

少なくとも現在においては、医療の現場で働く私から見て、インターネットは信用するに値しない情報が非常に多いといえます。

インターネットの性質を理解した上で使用することが大切です

さいごに

本当に自分の病気の治療法について判断しようとしたら、今の時代のインターネットの情報を鵜呑みにするのはとても危険です。

興味のある治療法があれば、それについて実際に病院で主治医に相談するというステップを軽視するべきではありません。

もし仮に他により良い治療法を探そうとするのであれば、自分で判断するのではなく、他の医者に依頼するセカンドオピニオンという形を選択するのが一番現実的です。

治療法が正しいかどうか、そしてそれがあなたに当てはまるかどうかは、その道のプロに確認するようにしていただければと思います。

また、当ブログの医療情報の正確性に対する考え方については下記の記事もご参照いただければと思います。

インターネット上で読んだ医療情報が正しいといえる根拠ってなに?

このブログ管理者である私は、keisuke_nakanoという名前でブログ記事を書いており、また、Twitterアカウントを作っています。これは当然ながらハンドルネームであり、厚生労働省の医師等資格確認検索を

インターネットの情報というものの持つ特性を押さえた上で、信用できる情報を抜き出してインターネットをうまく使うことが大切です。

根拠のない医療情報にはくれぐれもご注意ください。