健康診断の採血の前に食事をしてはいけないのはなぜ?

採血前の食事しちゃった!?

採血の前には食事を抜いてきてくださいと言われたことがある人、多いはずです。

また、健康診断なのにうっかり朝ごはん食べてしまった!という経験がある人もいるでしょう。

しかし食事を抜かなきゃいけないという話は知っていても、なぜなのかをきちんと知っている人は少ないのではないでしょうか。

今日は採血と食事の関係について説明していきたいと思います。


いろいろな数値が採血前の食事のせいで変わってしまう

採血の前に食事をすると、いろいろな数値が食事の影響を受けて変わってしまいます。

たとえば、食事によって中性脂肪血糖値は上がってしまいます。また、インスリンの数値も上がり、その分泌を示すCペプチドという値も上がってしまいます。

また、直前に蛋白質をたくさんとってしまうと尿素窒素アンモニアの値が上がります。 他に、アルカリホスファターゼという酵素や胆汁酸の値も食事の影響を受けて上昇します。

さすがに採血の前にお酒を飲む人はいないと思いますが、仮にアルコールを摂取すると、血糖値が低く出ます。

そのほかにも、白血球数無機リンカリウムなども直前の食事の影響を受けて変動するといわれています。

ですので、一部の採血項目では直前に採血することで正しい評価ができなくなります。

実際に、定期健診の採血では上に挙げた中でも中性脂肪や血糖値が必須項目なので、その正しい評価のためには何も食べないで採血してもらう必要があります。

でも食事は大事です

食事の影響をあまり受けない数値もある

一方で、直前の食事の影響で上がりそうで上がらない項目もあります。

悪玉コレステロールであるLDLの数値や、糖尿病の指標となるHbA1cなどがそれに当たります。

これらは長期的な普段の食生活の影響を示しますが、直前に脂っこいものを食べたからといって急に上がることはありません。

患者さんに「悪玉コレステロールが高いので注意が必要ですよ」と説明すると、「採血の日の前日に焼肉を食べたせいです」とかいいわけする人がいますが関係ありません。

直前に食事をしてしまって採血検査を受けても、結果が異常であったら直前の食事の影響で変わる数値とそうでない数値をきちんと分けて考えて、結果を正確に受け止める必要があります。


正確な評価のためには採血前12時間はなにも食べない

一般的には、採血の評価を正確に行うために、採血前12時間は絶食することが推奨されます。

採血をする予定の日に、間違って朝ごはんを食べてしまったらきちんと医師にそのことを伝えましょう。

しかし、高齢の方で採血の日に何も食べないで病院に来ていただくと、脱水でフラフラになってしまうような人もいます。

特に夏場は要注意です。 私は採血の日であっても、絶食して脱水で倒れないように、血糖値などに影響がほとんどない水やお茶などはしっかり飲んできてもらうよう患者さんに伝えています。

また、採血によってはわざと食事をして血糖値の変化をみるものもあります。 健康診断ではなくて病院で採血をする場合には、採血を指示した主治医に採血前の食事についてきちんと確認しておく必要があります。

普段は朝ごはんはしっかり食べましょうね

まとめ

多くの採血項目が直前の食事によって変動してしまうため、採血前12時間は何も食べないようにする必要があります。

しかし直前の食事の影響を受けるものと受けないものがあるので、採血検査の結果で異常があったら、医師に食事をしてしまったことを正直に伝えて結果の解釈をきちんと説明してもらいましょう。

病院で採血するという場合には、主治医に直前の食事をどうするかについて確認しておきましょう。

参考文献)
標準臨床検査医学第4版:高木康,山田俊幸 編:2013年:医学書院
臨床検査の正しい仕方-検体採取から測定まで-:濱崎直孝,高木康 編:2008年:宇宙堂八木書店