勤務時間後に救急外来を受診させる上司ってどうなの?|ブラック企業と医療崩壊

労働基準法ってどこにあるんですかね

最近では社員を労働時間の制限なく働かせる企業をブラック企業と呼ぶのを耳にします。

そういった企業かどうかはわかりませんが、患者さんが仕事のせいでなかなか病院に来れないというケースを、実際に診療をしていて経験することが少なくありません。

さらに、日中は忙しくて病院に来れないので、仕事が終わった後に夜の救急外来を受診するというケースもなかなかなくなりません。

以前、コンビニ受診についてはモラルというより受診のシステムの問題を改善するべきだという話を書きました。

救急車の不適切利用とかコンビニ受診について医者として思うこと

医者をしているといろんな世の中にはいろんな人がいるんだなぁと感じます。近年、救急車の不適切利用だとか、救急外来のコンビニ受診だとか、患者側のモラルを求める問題がたびたび指摘されています。しかし

しかし当直をしていると、そのようなシステムの改善の必要性に加え、何か社会全体の雰囲気というか、会社側の許容力の改善も必要なのではないかと感じます。


ブラック企業が救急のコンビニ受診の後押しをしている

仕事で日中抜けられないから、夜間救急外来を受診するという人は未だに少なからずいらっしゃいます。

こういった理由で救急外来を受診することは本来であれば好ましくないですし、他の多くの患者さんはその現状を理解してくださっています。

これに対して、前述のように救急外来のコンビニ受診は個人のモラルの問題だという意見もありますが、医療の現場で働いていますとどうもそれだけではないように思います。

おそらく背景に、病院にいくと言い出しにくい職場の環境があり、さらには病院に行かずにぎりぎりまで耐えて仕事をするのが一種の美徳だとしてしまう雰囲気があるのだと思います。

もし仮に、職場のそのような環境が原因であるならば、これはもう個人のモラルでどうこうできる問題ではないといえます。

病院より仕事を優先していませんか?

上司に言われて救急外来に時間外にやってくる人が少なくない

実際に私の経験上、仕事中に怪我をした患者さんが、大した怪我ではないので勤務終了後に家に帰ろうとしたところ、上司に念のため病院に行くように言われて救急外来を受診したというケースを見たことがあります。

病院を受診しなくてはいけないような怪我であれば、勤務を抜けて受診できるように上司が手配するべきと思いますが、残念ながら世の中にはそれが当たり前ではない企業があるようです。

病院側としても日中であれば専門医がそろっているかもしれませんが、当直の時間帯になってからの受診では、当直医による応急処置のみで翌日の専門外来を受診していただく形にならざるを得ません。

結局、翌日仕事を抜けて受診しなくてはいけなくなるわけで、それであれば最初から怪我をした時点で仕事を抜けて日中に受診をしていただいたほうが患者さんも手間がかからないことになります。

そうすれば受診する患者さん、診療する医療者、両方にとっての負担を避けることができ、さらに最初から質の高い医療が達成されるわけです。

しかし、受診した患者さんの方もそういったことをわかってくれている上で、上司に言われたので指示通りにやむなく時間外に受診するというケースが実際あるのです。


コンビニ受診は個人のモラルの問題におさまるものではない

上司の方としては、病院に行かせなかったということで部下に健康上の問題がおきてはいけないという意図なのだと思います。

ですが、それで勤務時間終了まで働かせた後に、当直時間帯の救急外来に行かせるというのは何とも言えない矛盾を感じずにはいられません。

企業の仕事に穴をあけないために勤務時間内は仕事をさせ、その後に病院の時間外の救急外来を利用させるというのは、企業の勤務体制に根本的に問題がありそうな気がします。

しかし、上司の人も部下の人もそういった事情はわかった上で、仕事の進行を遅らせるわけにもいかず、企業という組織の体制の中でやむを得ずそういった選択をしているのだと思います。

ですので、そもそも根本にこういった勤務体制の問題があって、それによって救急のコンビニ受診が社会問題となっている面もあるのではないかと感じます。

社会全体において、必要なときに仕事を抜けて適切に病院にかかれる体制やそういった雰囲気をつくることが必要だという気がしています。

仕事を抜けて病院に行くのが結局はみんなにとってよいのです

まとめ

救急外来のコンビニ受診は、その背景にブラック企業と呼ばれるような労働勤務体制の問題が潜んでいるように思います。

必要なときに遠慮することなく病院に行けるという雰囲気が、今の社会にはどうも欠けているように思えてなりません。 企業で人を雇う側の方々には、部下の健康とプロジェクトの進行を計りにかけることのないようにしていただきたいと思います。

ちなみに医療現場もブラック企業の一つだという話がありますが、医療従事者としてはこちらもなんとか改善してほしいところです。 将来的にこの状況がだんだんと改善されていくことを望みます。