足のむくみは何科で相談するべき?|下腿浮腫の原因について

足のむくみは何科?

外来に来られる患者さんに足のむくみで相談されることがけっこう多いです。

中には、「検査はいいからむくみをとる薬をください」と言われる方もいらっしゃいます。

医学的には足のむくみのことを下腿浮腫(かたいふしゅ)と呼びますが、その原因は様々です。 場合によっては、原因を調べた上で必要に応じて専門の科を受診していただくことになります。

むくんでいるからむくみをとる薬を飲めば治るというわけではなくて、むくんでいる原因を確認してそれに合わせた治療が必要となります。

足がむくむので病気かもという場合には、まずは内科で一通りの検査を受けることをお勧めします。

むくみを専門に診る診療科というのはないので、まず一般内科、そうでなければ腎臓内科、循環器内科、消化器内科、内分泌内科などが受診するべき選択肢となります。

ここではむくみを起こす原因と、それを専門に診る診療科について説明していきます。


腎臓が悪くなってむくむ場合

腎臓が原因でむくんでいる?

腎臓はおしっこを作っている臓器ですが、実は体にとって必要なものといらないものを選んでおしっこの中に捨てるという役割があります。

腎臓が悪くなる病気の一部では、普段はおしっこの中に捨てられない蛋白が、おしっこの中に捨てられてしまい、蛋白尿となってしまいます。

これによって血液の中から蛋白が減ってしまい、身体は血液の中の水分を血管の外に逃がすことで濃度を元に戻そうとします。

その結果として血管の外に逃げた水分がむくみという形であらわれることになります。 また、蛋白の濃度の問題以外にも、腎臓のおしっこを作る機能が落ちてしまっても、水分がたまってむくむことになります。

普段から高血圧があって放っておいたり、尿の量が少ないといった症状があったりすれば、腎臓の異常によるむくみが疑われます。

検査の結果、尿に蛋白が出ていて血液中の蛋白が少なくなっていたり、腎臓のおしっこを作る機能が落ちていたりする場合、腎臓の病気が疑われ腎臓内科が治療の専門となります。

心臓が悪くなってむくむ場合

心臓が原因でむくんでいる?

心臓は血液を全身に送るためのポンプであり、心臓の具合が悪くなってもむくみが起こり得ます。

心臓が悪くなってポンプとしての役割が不十分になると、全身の臓器に十分な血液を送ることができなくなります。 その結果、全身へ送り出せない血液がポンプの前の静脈側にどんどんたまっていくことになります。

また、ポンプが機能しなくなると、おしっこをつくる腎臓に十分に血液が届かなくなり、これによっても水分が体の中にたまっていってしまいます。

結果として、身体にどんどん水分がたまっていくために、むくみがあらわれてきます。 息が苦しい、動悸がするなどの胸の症状があるのであれば、心臓がポンプとして十分働けなくなった心不全によるむくみが疑われます。

そして診察や検査の結果、胸のレントゲンでポンプ機能が落ちた心臓がヘコヘコになって拡大して見えたり、採血で心不全のマーカーが上がっていたりなど、心臓の病気が疑われる場合には、循環器内科または心臓内科が治療の専門となります。


肝臓が悪くなってむくむ場合

肝臓が原因でむくんでいる?

肝臓は非常に様々な役割を持つ臓器です。 肝臓は消化酵素を作って食べ物の消化を助けたり、血液の中から糖、脂質、蛋白質などを取り込んで代謝して身体の役に立つ形に変えたりしています。

肝臓が機能しなくなってしまう肝硬変という状態では、肝臓がアルブミンという蛋白を作れなくなります。 その結果、蛋白の濃度を元に戻そうと血液中の水分が血管の外に逃げてしまうため、むくみがでてきます。

むくみが気になるという人で、普段からお酒を大量に飲んでいて肝臓が悪いとか既に肝硬変だとか言われているような人であれば、肝臓の問題によるむくみが疑われます。

採血でアルブミンの数値が異常に低かったり、お腹の超音波で肝臓がぼろぼろになっているのがわかったりなどの所見があれば、消化器内科が治療の専門ということになります。

ホルモンの異常でむくむ場合

ホルモンの異常を起こす病気によってもむくみが起こり得ます。 たとえば、ホルモンの異常でむくむケースの例として、甲状腺という首の部分にある器官の病気が挙げられます。

甲状腺ホルモンは全身の細胞の代謝を促して、エネルギーを使うように仕向けるホルモンです。甲状腺ホルモンの機能が落ちると、代謝が低下して皮下に粘液がたまってしまい、むくんでいってしまいます。

上に挙げた心臓、腎臓、肝臓のむくみでは、むくんだところを指で押すと痕がつくのが特徴ですが、甲状腺のむくみでは指で押しても痕がつかないのが特徴です。

医学的には、甲状腺の機能が低下してむくんだ状態を粘液水腫と呼びます。 代謝が落ちることで皮膚が乾燥したり、だるくなったりなどの症状があるのであれば、甲状腺からくるむくみが疑われます。

この場合、採血検査で甲状腺ホルモンの機能が落ちていることがわかれば、内分泌科などの専門の科へ紹介受診していただくことになります。

薬によってむくむ場合

薬が原因でむくんでいる?

薬によっては、副作用でむくみが出てくるものがあります。

代表的なものとしては、痛み止めの一つである非ステロイド性抗炎症剤(ロキソニンやボルタレンなど)、糖尿病の薬であるチアゾリジン誘導体(アクトスなど)、一部のホルモン製剤などが挙げられます。

足がむくむという人で今現在なにか薬を飲んでいるのであれば、お薬手帳など薬の情報を病院に持って行って主治医と一度相談してみるのをお勧めします。

薬は何も飲んでいないという人でも、毎日飲んでいるサプリメントや健康食品でむくみが起きることもあります。思い当たるものがあれば、一度病院で相談してみましょう。

静脈がわるくなってむくむ場合

静脈が原因でむくんでいる?

心臓から血液を送り届けるのが動脈で、使い終わった血液を心臓に戻すのが静脈です。

静脈は心臓のように後押ししてくれるポンプがあるわけではないですが、そのために逆流しないように弁がついています。

この弁がちゃんと機能しなかったりして血液がうっ滞してしまうと、静脈が広がったり曲がったりして静脈瘤をつくります。

また、ときには血液の流れが悪くなって血が固まってしまい、血栓となることもあります。 こういった静脈の血液のうっ滞や静脈瘤のせいでも足がむくんだりするわけです。

静脈だけの問題であっても、太い静脈の弁が壊れたり、痛みなどの症状が強かったり、皮膚に潰瘍ができてしまうような場合では手術が必要となります。

また、静脈に血栓ができてそこに炎症が起きると血栓性静脈炎と呼ばれますが、これはベーチェット病など全身の病気の一つの症状であることもあります。

まず内科で全身に影響するような原因がないかどうかを調べてもらう必要があり、静脈のみの問題だということになれば血管外科が手術を含めた治療の専門となります。

リンパ管の流れが悪くなってむくむ場合

リンパが原因でむくんでいる?

リンパ液は、体の中の脂肪分や血管から漏れ出た水分が含まれる液体で、ゆっくりと体に張り巡らされたリンパ管の中を流れています。

このリンパ液の流れが悪くなると、局所にリンパ液がたまってしまい、むくみとなって出てきます。

リンパ管の問題によるむくみは原因不明のこともありますが、ガンなどの手術後にリンパの流れが悪くなってむくむケースが多いことが知られており、ガンの手術の後遺症の一つとも言えます。

特に多いのは、女性の子宮がんなどの婦人科手術のあとに、足がむくむようになるケースです。 手術によって骨盤内のリンパ組織も切除するので、その抹消側のリンパの流れが障害されるために足がむくみます。

むくみが気になる方で、思い当たるような手術を過去に受けたことがある方は、手術を受けた主治医に相談するか、一般内科などを受診して過去にそのような手術を受けたことがある旨を伝えてください。

足のむくみは病気のサインかもしれません

その他のむくみの原因について

ここに挙げた以外にもむくむ原因は多くあり、たとえばアレルギー反応であったり、局所的な炎症であったり、栄養不足であったり、塩分の取りすぎであったりなど様々です。

女性では月経前になるとむくみ、月経後にむくみがとれるという月経前浮腫や、妊娠による浮腫というものもあります。

また、どこも悪くないのにむくむ場合というのもあり、特発性浮腫と呼ばれています。 特発性浮腫は典型的には立ち仕事の女性に多いとされ、夕方になると足がむくむというものです。

ただしこの特発性浮腫の診断も、あくまで上に並べたような病気がないと確認してからなされるものであり、普段からむくみが気になるという方は一度内科を始めとして各診療科で相談することをお勧めします。

まとめ

むくみの原因は様々であり、一概に薬を飲めば治るという病態ではありません。

むくみが気になるという方は、上に挙げたような病気に思い当たることがあればその診療科に、とくになければまず内科で相談することをお勧めいたします。

参考文献)
今日の診断指針 第6版
EBMに基づいたリンパ浮腫のチーム医療 癌と化学療法 41(1):7-10:2014
特発性浮腫 綜合臨牀 55(11):2686-2689:2006