あなたのその症状の原因は飲んでいる薬の副作用ではありませんか?

薬の副作用のせい?

なにか気になる症状があって病院にかかる場合、薬を飲んでいる人はその副作用の可能性も考えなくてはいけません。

そして、薬の副作用なのかどうかを調べてもらうためには、医師に今飲んでいる薬について正確な名前や用量を伝えることが重要になってきます。

しかし残念ながら私の経験上、「血圧で薬を飲んでますけど名前がわかりません」といったように、多くの人が正確には自分の飲んでいる薬について覚えていらっしゃいません。

そのためにお薬手帳や薬の説明用紙などもあるのですが、家に置きっぱなしで持ってきていただけていないケースが多いです。

医師側としては患者さんの利益のためにも、情報をしっかりと集めた上で診断したいと考えていますが、患者さんから十分な情報が得られないこともしばしばです。

気になる症状の原因が何なのかを調べてもらう上で、お薬手帳などで医師に飲んでいる薬の内容を伝えることはあなた自身のためにとても重要なのです。


咳の原因が血圧を下げる薬だった!?

いくつか具体例を挙げてみますと、たとえば咳が出るといっていらっしゃった方がいたとします。

咳の原因というと肺の病気だけでなく、アレルギーによる咳喘息で咳が出る方もいらっしゃいますし、副鼻腔炎などの鼻の病気や逆流性食道炎で咳が出る人もいます。

しかし、他に大切な要因として、薬を飲んでいる人の場合は薬の副作用で咳が出ている可能性も考えなくてはいけません。

ひとつの例として、血圧を下げる薬の一つであるアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)は、副作用として咳が出る人がいます。

ACE阻害剤の具体的な製剤名としては、レニベース、タナトリル、コバシル、エースコール、チバセン、ロンゲス・・・などなど、たくさんの製剤があります。

もし、このACE阻害剤を飲んでいるのであれば、可能であれば薬をやめる、または咳のでないタイプの血圧の薬に変えるというのが、治療の上で大切な選択肢になります。

飲んでいる薬の名前をお薬手帳を見せるなどして正確に医師に伝えないと、もし薬の副作用による咳であっても、漫然と咳止めを処方されるということにもなりかねません。

尿の回数が多いと思ったら糖尿病の薬のせいだった!?

また、他にも例をあげますと尿の回数が多いといっていらっしゃった男性の方がいたとします。

尿の回数が多い原因として、膀胱や前立腺の病気を念頭に置いて検査をしていくことになりますが、ここでももしなにか薬を飲んでいればその情報は大切です。

たとえば高血圧や心臓、腎臓の病気のある人は、利尿剤という尿の量を増やす薬を飲んでいる場合があります。

他にも最近新しく出てきた糖尿病治療薬のSGLT-2阻害剤は、糖を尿の中に捨てることで血糖値を下げる薬ですが、その結果として尿の量が増えます。

こういった薬の作用によって尿の回数が増えている可能性があり、検査を進める前に尿の量が増える薬を飲んでいないか確認する必要があるわけです。

この場合も、治療薬を追加するのではなく、原因となっている薬を変更すれば問題が解決する可能性があるわけです。

飲んでいる薬は別に関係ないだろうと、お薬手帳や薬の説明用紙を持たずに他の病院を受診すると、尿の回数が多いことの正しい原因にたどり着けない可能性があります。

そのために漫然と頻尿に対する薬を処方されて、薬を飲んでもなかなか良くならないというケースが実際にあります。

自分の飲んでいる薬の情報を医師に伝えるということは、正しい診断をしてもらうためにも、そして余計な薬を増やされないためにも非常に大切なことなのです。


アレルギーを抑える薬でアレルギーが出た!?

「薬を出すのなら副作用がない薬を出してください」と言われる方がいますが、世の中に副作用のない薬というものは存在しません。

たとえば、アレルギーを抑える薬として有名なアレグラなどは薬局でも手軽に買える薬ですが、副作用としてアレルギーが起きる可能性はゼロではありません。添付文書にも書いてあります。

すべての薬が副作用を起こす可能性があるわけで、薬を飲むことによる治療の有益性が、その副作用のリスクを上回るために、治療のために薬を飲むという選択肢が存在するわけです。

ですので、なにか症状があって、ふだん薬を飲んでいる場合には、必ずその薬による副作用のせいではないかどうかを診てもらう必要があります。 そのために、飲んでいる薬の情報を医師に伝えるというのは非常に大切なのです。

お薬手帳は忘れずに!

まとめ

ここに挙げた例はほんの一部ですが、気になる症状の原因が飲んでいる薬のせいかもしれないというのは常に考えなくてはいけない可能性です。

どの薬が原因なのかというのを正しく明らかにしてもらうためにも、飲んでいる薬の正確な名前、用量、処方期間がわかるお薬手帳を必ず病院に持っていくことをお勧めします。

また、誤解を招いているかもしれませんの書いておきますが、副作用が出るから薬は何も飲まないほうがいいと言っているわけではありません。

そもそも治療にとって必要なものだから薬を飲むわけであり、副作用のリスクを考えても、薬を飲んだほうが患者さんの健康にとって得であるから薬が処方されるわけです。

ですので、症状の原因が薬の副作用なのかどうか、もしそうであれば薬をやめてみるべきかどうかは、必ず医師と相談するようにしてください。

中には急にやめることで、副作用がでるような薬もあるので注意が必要です。自己判断で薬をやめるのではなく、医師と一緒に確認することが大事です。