胃がん検診に胃カメラがようやく正式に導入されることになりましたよ!

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「一度は胃カメラをやっておいたほうがいいというけど、いままで一度も受けたことがありません」と相談にいらっしゃる方、私の経験上けっこういらっしゃいます。

胃カメラというのは正式には上部消化管内視鏡検査といい、口からカメラのついた細い管を飲み込んで食道、胃、十二指腸に異常がないかを見てもらう検査です。

胃カメラ飲むのって苦しいんでしょ?という方も多いですが、最近では鼻から行う低侵襲の検査も広まっており、なにより胃カメラは胃がんの早期発見のために非常に大切な検査です。

じつは一部の自治体ではがん検診の一部に胃カメラを導入していたものの、それ以外のほとんどの自治体ではこれまで胃カメラはがん検診として導入されていませんでした。

それが今回2015年6月29日、厚生労働省の専門家検討会で胃カメラの胃がん検診への導入が認められました。

市区町村の胃がん検診、内視鏡検査導入へ 来春にも-朝日新聞デジタル

今回はこれについて説明していきたいと思います。


なぜこれまで健康診断では胃カメラをやってくれなかったの?

胃がん検診の説明に先立って、今現在の検診の仕組みについて説明したいと思います。

以前は自治体が健康基本診査という名で住民に対して健康診断を行っていました。

しかし2008年4月から特定健康診査・特定保険指導を医療保険者(つまり保険証を発行する側ですね)が行うよう制度が変わりました。

この新たに始まった精度で保険者が行う健康診査に当てはまらない方に関しては、自治体が健康増進法に基づいて特定健康診査を行っています。

自治体が行う特定健康診査の対象は、40歳から74歳までの国民健康保険の被保険者になります。(75歳以上の方に関しては後期高齢者健康診査となっていて制度上は別個になります。)

この特定健康診査と平行して、自治体によって胃がんや肺がんなどの各種がん検診が行われているのが現状です。

検診というのは大きくわけて、対策型検診と任意型検診に分けられます。

対策型検診というのは、ある集団に対して行われるもので、その集団の死亡率を減少させることを目的として行われます。

対策型検診は主に自治体によって提供され、自治体ごとに個人の負担金が設定される場合もありますが、多くは公的資金によって運営される検診です。

一方で任意型検診は、個人の判断で受ける検診であり、全額自己負担となります。人間ドックは任意型検診に当てはまります。

今現在でも、胃カメラが含まれる人間ドックのコースを希望して受ければ、自己負担になりますが誰でも胃カメラの検査は受けられます。

しかし対策型検診は人間ドックなどの任意型検診にくらべて、公的資金を用いてより多くの人を対象として行われているため、対策型検診として検査が行われるためには、検査によって集団の死亡率を減らす有効性がよりはっきりと証明される必要があるのです。

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なぜ今になって胃カメラが胃がん検診に導入されるの?

胃がん検診はこれまで胃エックス線検査、つまりバリウムを飲んでレントゲン画像で異常をチェックする検査で行われていました。

胃カメラは胃がんの早期発見をすることができ、多くの学会や専門家によってその有効性を主張されていたのですが、2005年の「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」では、胃カメラが死亡率を減らす効果については証拠が不十分なので、対策型の検診としては推奨しないとされていました。

以前の胃がん検診ガイドラインで対策型検診として推奨されていたのはバリウムを飲んで行う胃エックス線検査のほうだけだったのです。

これは実は当時既に大きな反響を呼んでおり、胃カメラを胃がん検診に推奨しないとするガイドラインに対して、各学会や専門家の反発があった経緯があります。

その後、既に胃カメラが胃がん検診として導入されていた新潟や鳥取での結果などの研究によって、やはり胃カメラによる胃がん検診が科学的に有効だと認識されるようになりました。

そして国立がん研究センターおよびがん予防・検診研究センターが作成した昨年2014年の「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」の中で、胃カメラを検診で行うことを推奨するとされたのです。

胃がん検診に内視鏡をはじめて推奨 50歳以上は2~3年に1度の受診を-保健指導リソースガイド 

今回の厚生労働省での専門家検討会での結果は、このガイドラインの変更を受けての結果になります。


胃カメラによる胃がん検診が始まったら誰でもどこでも受けられるようになるの?

ガイドラインで胃カメラが推奨されても、果たして本当に対策型検診として広められるのかについてはいくつかの問題点がありました。

というか、じつは今現在でもその問題点は残っており、今後どうなるのかが注目されます。

具体的には、検査の費用捻出、胃カメラを行う専門医の確保、受診間隔や受診年齢の確定、合併症に対する対応などが挙げられます。

とくに、新ガイドラインでは50歳以上で2~3年に一度の検査が推奨されるとしていますが、特定健康診査の対象である40歳台はどうするのか、75歳を超えるような高齢者にも同じ間隔で検査を受けてもらうことが本当に有益なのか、などの問題があります。

また、胃カメラは非常にまれではありますが、消化管穿孔などの重大な合併症のある検査であり、検診の一環として行うとしてもそのような重大な合併症に対応できる施設に限るべきではないかといった議論もあります。

はやくて来年の春からの導入ということで、今後は各自治体で胃カメラが積極的に胃がん検診に導入されていくことが予想されます。

胃カメラがより気軽に受けられる環境というのは、胃がんの早期発見のためにはよいことだといえますが、それを支える体制の整備も早急に求められているといえます。

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まとめ

今後公的資金を用いた自治体の胃がん検診に胃カメラが導入され、広まっていくことが予想されます。

これまでのバリウムを飲む胃エックス線検査が胃カメラに置き換わるかもしれません。

胃がん検診をいままで受けたことがないという方、けっこう多いですが、この機会に今後は定期的な受診をして検査を受けていただければと思います。