尿の色が赤い!血尿が出たら何科にいくのが正しいの?
「ワインみたいな尿が出たんですけど・・・」とか、「健康診断で尿潜血というのが陽性になったんですけど・・・」と血尿で受診される方、けっこういらっしゃいます。
結論からいってしまうと内科でもかまいませんが、一番優先度の高い診療科となると泌尿器科を受診するのがよいでしょう。
また、女性の場合は婦人科も受診の選択肢となりますし、子供さんの場合には小児科を窓口とするのがよいといえます。
それでは血尿について説明しながら、これらの診療科を窓口として受診すべきであるという理由を説明したいと思います。
見た目は変わらないけど血尿ってどういうこと?
自分で見て尿の色が明らかにおかしければ血尿だとわかりますが、色は普段とまったくかわらないのに健康診断で血尿といわれてしまうことがあります。
明らかな赤い尿を肉眼的血尿と呼ぶのに対して、このように目に見えないほどのわずかな量の血液が混じっている場合を顕微鏡的血尿と呼ばれます。
たとえ見た目が全く変わらなくても、どこからか尿に血が混じってしまうのは異常なことであり、精密検査が必要になります。
血尿で病院にいくとどんな検査を受けることになる?
血尿で病院にかかると、まず本当に血液が混じっているのか、尿を詳しく調べます。
明らかに尿の色がおかしいので血尿だと思っていても、実は溶血という赤血球が壊れる血液側の問題であったり、筋肉が壊れる横紋筋融解症という病気で尿の色がおかしくなったりすることがあるからです。
そして確かに尿の中に赤血球が混じっているということになると、お腹の超音波で腎臓や膀胱に異常がないかを確認したり、尿の中にがんの細胞が混じっていない科を顕微鏡で調べたりといった検査を受けることになります。
血尿で一番怖いのは尿路系のがん!
血尿を起こす病気は、尿路結石、感染による腎炎、慢性的な腎臓病など多岐にわたります。しかし血尿の検査で一番大切なのは、一番怖い病気である尿路のがんをまず除外することです。
尿路というのは、腎臓でおしっこが作られてから外に出るまでに通る道筋です。
おしっこは腎臓をでると腎盂という漏斗状の管を通って尿管という細い管に入ります。
そして膀胱で貯められ、尿道を通って外に出るわけです。
この腎盂~尿管~膀胱~尿道という道筋のことを尿路といい、ここにできるがんが尿路系のがんということになります。
前述の超音波や細胞の精密検査で尿路系のがんを疑う所見がないかどうかを調べるわけです。
前立腺のがんも血尿を起こすことがあり、特に50歳以上の男性では前立腺がんのマーカーであるPSAという値を採血でチェックすることになります。
また、必要に応じて造影剤を使ったCTやMRIの検査で、より詳しく尿路を調べていくことになります。
尿路系のがんができやすい人は膀胱鏡!
尿路のがんができやすい人、具体的には前述したように色で明らかに血尿とわかる場合、40歳以上の男性、喫煙者、特定の有害物質への暴露、過去に泌尿器科にかかるような病気になったことのある人、尿路の感染症を起こしたことがある人、排尿時に痛みなどの症状がある人、骨盤に放射線治療をしたことがある人、シクロフォスファミドという薬で治療をうけたことがある人などは、膀胱鏡という検査を受けることが推奨されます。
膀胱鏡というのは簡単にいうと、膀胱の内視鏡です。
細い胃カメラみたいなものを想像していただけるといいかと思いますが、膀胱鏡は細い管を尿道から入れて直接膀胱の中を観察して異常がないかを調べる検査です。
上に挙げたお腹の超音波や尿を顕微鏡で調べる検査は一般的な内科でもできる検査ですが、膀胱鏡は泌尿器科が行う検査になります。
また、尿路系のがんを専門的に診療し、手術や抗がん剤治療まで行っているのは泌尿器科です。
ですので、血尿で受診するとすれば泌尿器科が一番適しているということになるわけです。
腎臓内科っていうのは血尿は見てくれないの?
内科の中には腎臓が関わる病気を専門的に診療する腎臓内科が存在します。
当然、腎臓内科も血尿で相談する窓口としては間違ってはいませんし、腎臓内科は日常的に血尿の患者さんをたくさん診療している科であるといえます。
実際に泌尿器科にかかっても、尿路系の異常が見つからずに、尿をつくる腎臓そのものの病気が疑われるのであれば、紹介状を持って腎臓内科にかかってもらうという流れになります。
また逆に、腎臓内科にかかって腎臓の病気ではなさそうということになり、尿路系の精密検査が必要ということになれば紹介状を持って泌尿器科を受診してもらうことになります。
しかし目で見て明らかに血尿だとわかるような場合には、膀胱鏡を含めた精密検査が必要になるため、まず受診するべきは泌尿器科ということになります。
子供や女性はどうしたらいいの?
学校検診で見つかったというような15歳未満の子供の場合には、小児科を窓口とするのが一番であるといえます。大人と子供で頻度の高い血尿を起こす病気が異なるからです。
また、女性であれば受診の窓口として婦人科も選択肢の一つとなります。女性の血尿の場合には尿道や女性器の診察が必要になり、その診察の専門は婦人科となるからです。
婦人科的な診察で異常がなく、尿路の検査が必要ということになれば、泌尿器科へ紹介受診することになります。
ただし近年では女性泌尿器科という診療科名を標榜するクリニックも多く、こういったクリニックが近くにあれば女性のケースでは一番の選択肢となると考えられます。
まとめ
血尿を起こす病気で一番怖いのは尿路のがんです。
よって血尿で病院にかかった場合、尿路にがんが隠れていないか、という点を念頭に置いて検査が進められることになます。
一般内科や腎臓内科での診察も可能ですが、目で見てわかるような血尿の場合には受診するべきは泌尿器科になります。
また、女性の場合は婦人科も選択肢の一つとなりますし、子供の場合には小児科を最初の受診の窓口とするのがよいでしょう。
参考文献)
泌尿器外科 22(7):881-884,2009
血尿診断ガイドライン2013 血尿診断ガイドライン編集委員会