魚の骨がのどに引っかかってとれないときは何科に行けばよい?

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先日、魚の骨がのどに引っかかったといって内科に相談に来た患者さんがいらっしゃいました。

舌圧子(アイスの棒みたいなやつです)とライトを使って、がんばってのどの奥を見ましたが骨は見つからず、結局その方には耳鼻咽喉科に行っていただきました。

その後どうなったかはまだわかりませんが、今回のような魚の骨のケースも含めてのどに違和感があるという場合には、まず耳鼻咽喉科を受診してしまうのが近道だったと思われます。

今回はのどに何か引っかかったという場合について、なぜ耳鼻咽喉科が最初の選択肢となるのかについて説明します。


耳鼻咽喉科は「耳」と「鼻」だけでなく「のど」も専門科!

よく「耳鼻科(じびか)」といいますが、耳鼻科の正確な名前は「耳鼻咽喉科(じびいんこうか)」です。

「耳鼻科」という名称が広まっているせいで多くの方が忘れがちなのですが、耳鼻咽喉科は「耳」と「鼻」だけではなく、「のど」の専門科でもあるのです。

耳鼻咽喉科の医師はのどに関しても専門家であり、耳鼻咽喉科では内科よりもより詳しいのどの検査をすることが可能です。

魚の骨がのどに刺さった場合に内科でできる検査は?

具体的には、内科でできるのどの診察は、口を開けてもらって直接のぞいて見える範囲までしかできません。

魚の骨が口を開けて見える範囲内よりも奥にある場合には、内科で魚の骨の除去は困難です。

内科でほかにできる検査としてレントゲンが挙げられますが、魚の骨は人間の骨とレントゲンの透過性が異なるのでレントゲンに写らないこともあります。

内科でやってもらえる検査で、魚の骨についてより詳しく調べる方法としてCTの検査が挙げられます。

CTではもし魚の骨が見つかればそれが穿孔していないか、周りに膿瘍などの合併症が起きていないかまでしらべることができます。しかしCTの検査では魚の骨そのものを除去することはできません。

魚の骨がのどに刺さった場合に耳鼻咽喉科でできる検査は?

一方、耳鼻咽喉科では、必要があれば喉頭ファイバースコープというのど用の内視鏡を鼻から入れて、のどの奥まで観察することができます。

ファイバースコープの種類によってはのどの奥を観察しながら、そのまま魚の骨をつまんで除去することができます。

ちなみに、すべてののどの異物感や痛みのある人が喉頭ファイバースコープの適応になるわけではありません。

しかし魚の骨が引っかかってしまったかもしれないという状況であれば、必要に応じて詳しい検査までできる耳鼻咽喉科に最初からかかってしまうのが、要領のよい受診の方法だと考えられます。

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「魚の骨はごはんを飲み込めばとれる」は本当?

よく、ごはんを飲み込むとのどに引っかかった魚の骨がとれるという話があります。自分も昔、そう言われて育ちましたが、無理やり多めのご飯を飲み込むことで、魚の骨がより深く突き刺さる可能性があります。

魚の骨がのどに刺さったかもしれないという状況で、のどの痛みや違和感などの症状が続くときには、自分でなんとかしようとせず、耳鼻咽喉科を受診するのが一番安全です。

魚の骨は、のどにささることでその場所に膿瘍という膿のかたまりを作ってしまったり、ばい菌が悪さをして炎症をおこして蜂窩織炎となってしまったりという合併症を起こすこともあります。

特に数日様子を見ていても痛みが治まらない、のどが腫れている、熱が出てきたといった場合には、すぐに耳鼻咽喉科を受診するべきです。


耳鼻咽喉科にいけば必ず魚の骨はとってもらえるの?

魚の骨がのどに刺さったかもしれないという患者さんのうち、実際に魚の骨が見つかって取れるケースというのは実は2割程度しかないそうです。

魚の骨が刺さったけれども抜けてしまって痛みや違和感だけ残っているケースや、魚の骨が見えにくい部分に刺さっていてファイバースコープをもってしても見えないようなケースがあるからです。

ほかにも、魚の骨が食道まで入って引っかかっていることが疑われるのであれば、消化器内科や消化器外科、胃腸科などの診療科で胃カメラが必要になる場合もあります。

耳鼻咽喉科の喉頭ファイバースコープは、食道までは入り込むことができないからです。

また、場合によっては気管の奥まで入ってしまっているのであれば、呼吸器内科や呼吸器外科で行う気管支鏡が必要になるケースもあります。

これら胃カメラや気管支鏡などの検査は侵襲性が高く、開業の医院やクリニックの施設ではなかなか行えませんし、大きい病院で検査施設が整ったところでないと行えません。

魚の骨がのどに刺さったら大きな病院にいかなくてはいけない?

呼吸が苦しいなどの緊急の症状がある場合を除けば、魚の骨がのどに刺さったケースで、最初から大きな病院でこれらの専門的検査を受ける必要はありません。

クリニックがやっているような平日の昼間で、特にそれほど切迫した症状がないのであれば、順序としてはまず耳鼻咽喉科で相談し、必要に応じて喉頭ファイバースコープの検査を受けるというのが、一般的な流れです。

耳鼻咽喉科医の医師の診察の結果、さらなる専門的な検査が必要だということになれば、大きな病院へ紹介状を書いてもらえます。

夜間や休日など通常の耳鼻咽喉科クリニックがやっていない時間帯であれば、最寄りの救急外来のある病院に電話で診察可能かを確認したうえで受診してください。

また、実際には呼吸が苦しいという症状があるような緊急の場合には、迷わず救急車を呼んでください。

まとめ

魚の骨がのどに刺さったかもしれないという場合には、まずお近くの耳鼻咽喉科を受診して相談してみましょう。

魚の骨といえども合併症を起こすこともあり、そのようなことになってしまう前にのどの専門家である耳鼻咽喉科医の診察を受けることが最適な選択だと考えます。

参考文献)
治療 90(10):2667-2669,2008
レジデントノート 13(11):2125-2133,2011
今日の治療指針2015年版 医学書院