トイレが近くて夜目が覚める・・・頻尿は何科にかかればよい?

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夜寝ているとトイレが近い、尿意で目が覚めるという相談を患者さんから受ける機会が多いです。

頻尿の多くの原因は膀胱や前立腺の問題で泌尿器科的なものであり、内科でもある程度の診療は可能ですが必要に応じて泌尿器科を紹介して受診していただいています。

膀胱炎などの急性の炎症が原因でおこる頻尿は、尿検査と診察で診断可能であり、内科でも対応可能です。また、急性の炎症による頻尿は、女性であれば婦人科でも診てもらえます。

しかし頻尿の原因は様々で、膀胱や前立腺の異常について詳しく調べるためには尿路に造影剤を入れて撮影する検査や膀胱内の内視鏡が必要となる場合があり、これらの検査は泌尿器科が専門に行う検査になります。

女性の場合には最近は女性泌尿器科というものも増えてきていますので、男女ともに頻尿があまりに続く場合には泌尿器科を受診することをおすすめします。

ここでは具体的に頻尿の原因にはどのようなものがあるのか、それぞれ専門の診療科はどこになるのかについて説明していきます。


膀胱の異常で起こる頻尿について

頻尿について考えるときに重要な臓器の一つとして、膀胱が挙げられます。

膀胱は、簡単に言うとお腹の下のほうにある尿を貯めておくための袋です。

尿の回数が増える原因には様々なものがありますが、その一つとしてまず挙げられるのが膀胱の粘膜が不必要な刺激を受けてしまうことです。

膀胱内に何らかの異物があったり、結石や腫瘍などがあったりすることで膀胱の粘膜が刺激を受けてしまいます。すると十分に尿をためる前に下腹部の不快感や痛みを感じるようになります。

また、膀胱は風船のように伸び縮みすることができる袋になっていますが、感染や炎症があると膀胱の壁が影響を受けてしまい、少し膀胱が膨らんだだけで膀胱はもう限界だと感じ、尿を出すように脳に指示してしまうようになります。

膀胱炎などの一時的な炎症であれば内科や婦人科でも対応できますが、腫瘍や大きい結石に対する対応は泌尿器科的な専門的な検査を必要とするため、最初から泌尿器科のクリニックを受診するか、そうでなければ必要に応じて内科や婦人科から紹介してもらって泌尿器科を受診することになります。

前立腺の異常で起こる頻尿について

前立腺は男性のみに存在する器官で、膀胱の出口から尿が出るまでの尿道の途中に、尿道を囲むようにして存在するクルミ大の器官です。

膀胱から出ていく尿道が、前立腺を貫いて走行しているともいえます。

そのため、この前立腺が何らかの原因で腫れて大きくなると、尿がスムーズに通れなくなり、常に膀胱の中に尿が残ってしまう状態になります。

その結果、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などによって前立腺が腫れてしまうと、頻尿という形で症状がでてきます。

前立腺が腫れている場合に大切なのは、一番怖い前立腺がんを除外することです。

尿の検査やPSAという前立腺がんのマーカーの採血検査は内科でも可能ですが、前立腺がんの確定診断には前立腺生検といって、直接組織をとってきて顕微鏡で詳しく見る検査が必要になります。

そのため、前立腺の異常については泌尿器科で詳しく見てもらうことをおすすめします。


神経の異常で起こる頻尿について

膀胱は普段、尿がたまったかどうかを神経を介して脳に伝えています。そして脳は尿を出そうという命令を膀胱に神経を介して伝えます。

この膀胱と脳をつなぐ神経に、何らかの原因で不具合が起きると、尿をためたり出したりするバランスがうまく取れず、頻尿という形で症状が出てくることがあります。

このような神経が原因で起きる頻尿は、神経因性膀胱と呼ばれています。原因としては末梢の神経が侵される糖尿病、脳自体が障害を受ける脳梗塞や脳出血、パーキンソン病などの神経疾患、また脊髄損傷などの脊髄が侵される病態でも起こりえます。

神経因性膀胱の診断、治療は泌尿器科で行われますが、原因となる病気の診療は、たとえば糖尿病や脳梗塞であればそれぞれ専門の内科にかかる必要があり、多くの場合複数の診療科に通院していただくことになります。

尿の作られる量が増えてしまう頻尿について

ここまでで膀胱と前立腺と神経について書きましたが、これらの異常はいずれも尿の通り道の問題であり、尿自体の量に異常は起きません。

ところが、なんらかの異常で作られる尿の量が増えてしまうと、やはり頻尿になります。

たとえば、糖尿病では血液の中の糖が増えてしまい、腎臓で糖といっしょに多量の水分が尿として出て行ってしまいます。

そのために水分が足りなくなり、喉が渇いて水分をたくさんとるようになり、多飲多尿のサイクルに入ってしまいます。

最近尿の量が増えたという方で、以前健康診断で糖尿病といわれて放置している、というような人は内科で糖尿病について調べてもらう必要があります。

ほかにも尿を作らないように抑制するホルモンが不十分になると起きる、尿崩症と呼ばれる病気があります。

こういった病気の適切な診断、治療を受ける道筋は、泌尿器科や内科を受診して一通りの検査を受けた後に、専門の診療科を紹介受診するという形になります。

また、寝る前にお酒を飲む人はアルコールの利尿作用によって夜間頻尿となっている可能性がありますので、思い当たる方はまずそういった生活習慣を正していただければ、頻尿の悩みが解決するかもしれません。

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薬の副作用で頻尿になってしまう場合もある

薬の中には、副作用で頻尿を起こすものが少なくありません。

具体的には、まず高血圧や心不全に対して内服する利尿剤が挙げられます。利尿剤は副作用というか、目的とする作用自体が尿を増やすことなのですが、血圧の薬とか心不全の薬としか知らずに内服している方もいらっしゃいます。

代表的な利尿剤としてはラシックス、アルダクトンA、フルイトランなどの名前が挙げられますが、最近では高血圧の薬の錠剤に合剤として含まれていたりして目立たなくなっていることもあります。

ほかにも副作用で頻尿となる薬は多々あり、頻尿が薬のせいかもしれない、という場合には、処方した医師に症状を伝えた上で、本当に薬の影響かどうか、薬を調節または中止するかどうかを相談していただければと思います。

心の問題で頻尿になってしまう場合もある

一方、膀胱や前立腺、尿の作られる量などに何も異常がないのに、頻尿となってしまうケースがあります。

「今のうちにトイレにいかなくちゃ」と思ってトイレで用を足すという経験は誰しもお持ちだと思われますが、この思いが強すぎて、頻回にトイレにいくようになってしまうケースを心因性頻尿と呼びます。

あまりにひどい場合には最終的には心療内科や精神科などで相談することになりますが、心因性頻尿はあくまで泌尿器科を受診して、ほかの異常がないと分かった上で診断されることになります。

自己判断で心因性頻尿だと決めつけてしまうと、膀胱がんや前立腺がんを見落とす可能性があります。

まとめ

頻尿の原因は、膀胱や前立腺、神経をはじめとして様々な原因があります。

最初の受診先として適しているのは泌尿器科のクリニックですが、病態によっては内科、女性の場合には婦人科も選択肢となり得ます。

いずれにしろ自己判断で受診を避けることは、前立腺がんや膀胱がんが隠れていることを見落とす危険性があり、一度は病院やクリニックで相談することをおすすめします。

参考文献)
内科診断学第2版 医学書院