脈が速いのは病気?健診の心電図で洞頻脈となった場合には何科にいけばよい?

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「脈が通常より速い」という状態を検査で見るには、脈を触れて数を数えればよいわけですが、健康診断の心電図で「脈が速い」とひっかかるケースもあります。

心電図は心臓の異常な電気的興奮が波形の異常として検出できる検査ですが、心臓の脈打つ速さも記録できる検査です。

安静時の人間の正常な心拍数はだいたい1分間におよそ50~90回ですが、これが1分あたり100回を超えた場合に、脈が正常範囲より速い「頻脈」であると診断されます。

脈が速くなる病的な原因として、心臓の一部で異常な回路ができてしまって電気的な興奮がぐるぐる回ってしまったり、心臓の中の普段は電気的に興奮しない細胞が興奮してしまったりすることが挙げられます。

これらは異常な回路、異常な電気的興奮に基づく「頻脈」となりますが、回路や電気的興奮に異常がなくても、脈が速くなることがあります。

それは「洞結節」が早くなってしまう場合です。どんな人の心臓にも、普段定期的に電気的興奮を起こすペースメーカーが存在し、このペースメーカーを「洞結節」といいます。

この「洞結節」の働きが何らかの原因で速くなってしまう場合を、「洞頻脈(どうひんみゃく)」または「洞性頻脈(どうせいひんみゃく)」と呼びます。


洞頻脈はどんな原因によって起こる?

「洞頻脈」を引き起こす原因は様々です。

健康な人でも激しい運動をしたり、不安感などの精神的ストレスを感じたり、慣れない環境に緊張したり、感情的に興奮したりすることで、容易に洞頻脈が起こり得ます。

また、お酒を飲んだ場合もアルコールの影響によって脈が速くなりますし、たばこに含まれるニコチン、コーヒーなどの飲料に含まれるカフェインなども、脈を速くして洞頻脈を引き起こします。

また、薬の副作用によって脈が速くなって洞頻脈となることもあります。例えば感冒薬に含まれるエフェドリンは脈を速くする作用があります。

これらは病気を持っていなくても起こる現象であり、洞頻脈があるだけで何か病気を持っていると診断できるわけではありません。

しかし逆に言えば、洞頻脈は病気が原因で起こることもあります。

例えば熱があったり、体の中で炎症が起きていたりする状況では、洞頻脈が起こり得ます。

膠原病などの慢性的な病気や体の中に悪性腫瘍が隠れている場合でも、体に炎症が起きるので脈は速くなります。

また、血液が薄くなる貧血や、血液が少なくなる出血によっても脈が速くなります。

他にも血液の中の酸素が不十分になったり、肺の病気で呼吸が十分できない状況であったり、血圧が低くなってしまったり、心臓が十分に働けなくなって心不全となってしまっても脈が速くなります。

上記のように体に何らかの危機が迫り、心臓から血液をたくさん送り出さないといけない状況になると、人の体は脈は速くなるようになっているのです。

さらに甲状腺の病気での甲状腺のホルモンが過剰に出てしまう甲状腺機能亢進症、カテコールアミンという脈を速くする作用のあるホルモンが出すぎてしまう褐色細胞腫という病気でも、脈は速くなります。

これらの頻脈を起こす病気、病態は心電図での洞頻脈という所見だけでは診断できません。

洞頻脈に病気が隠れているのかどうかに関しては、ほかの検査所見と合わせて総合的に医師が判断し、場合によって精密検査を受けることで診断されます。

健康診断の心電図で洞頻脈と診断されたら?

健康診断の結果で、「洞頻脈」だけで要精密検査となるケースは少ないかもしれませんが、頻脈の程度がひどかったり、ほかの検査で病気を疑うような所見があったりすれば、医師の判断で要精密検査とされます。

この場合、受診するべきは一般内科、循環器内科、心臓内科、循環器科になります。

上記に挙げたような病気が隠れていないかを一般的な検査で一通り調べることになるので、受診するべきはまず一般内科が適しています。

そのほかの循環器内科、心臓内科、循環器科は、名称は違いますがすべて同じ意味で、これらは心臓の異常を専門的に診る診療科です。

循環器内科、心臓内科、循環器科は普段から心電図の異常を診療している科なので、こちらも受診する先として適しています。


洞頻脈だけど原因不明だと言われたら?

明らかな原因となるような病気がないのにも関わらず、安静時にも洞頻脈が起こっているというケースを、最近では不適切性洞性頻脈と呼びます。

不適切性洞性頻脈は、原因がないのに安静時の脈が速く、さらにそのせいで動悸などの症状が出てくるもののことを指します。

不適切性洞性頻脈に対して心拍数を抑えて症状を出ないようにする治療法はまだ完全には確立していませんが、脈を遅くするβブロッカーという薬を使ったり、興奮の激しい洞結節に対してカテーテルアブレーションを行ったりする方法などが試みられています。

不適切性洞性頻脈に関して相談するとすれば、受診科は上に挙げた循環器内科、心臓内科、循環器科になります。

まとめ

洞頻脈は生理的な原因でも起こりえますし、病気によっても起こりえます。

健康診断で要受診となった場合には、相談先は一般内科、循環器内科、心臓内科、循環器科になります。

参考文献)
Inappropriate Sinus Tachycardia:Brian Olshansky MD、Renee M. Sullivan MD:JACC 61(8):793-801:2013
洞不整脈・洞頻脈:小川聡、馬場彰泰:医学と薬学 36(1):5-6:1996.