手足口病で学校に行ったり会社に出勤したりしてもいいの?

entry_img_179

子供の病気かと思いきや、大人でも意外に多いのが手足口病です。

子供が手足口病と診断された数日後に自分の手足にもポツポツが出てきたといって相談にいらっしゃる方がたまにいらっしゃいます。

手足口病はコクサッキーウイルスA10、コクサッキーウイルスA16またはエンテロウイルス71型というウイルスが原因として知られています。

このウイルスに感染して口の中、手のひら、足の裏にポツポツと発疹ができるものを手足口病といいます。

手足口病にかかってしまった患者さんによく聞かれるのが「学校はいつから行っていいですか」とか「会社に出勤することは問題ないですか」という質問です。

実は手足口病に関しては、登校や出勤に関する法律はありません。つまり何日間は登校してはいけないとか出勤してはいけないとか、そういう決まりはないのです。

ここでは手足口病の登校や出勤に関して、詳しく説明していきたいと思います。


手足口病はどうやって人にうつるの?

まず、手足口病がどうやって人に感染するのかについて説明しておきます。

手足口病は、主に便や唾液や痰を介して感染します。トイレの便座に知らずにウイルスがついていたり、感染者が咳やくしゃみをしたときに出た唾液や痰を吸い込んでしまったりすることでうつります。医学的には糞口感染および飛沫感染と呼ばれます。

また、手足口病では手のひらや足の裏にポツポツと水泡ができますが、この水泡の中身も感染の原因になるので注意が必要です。

唾液や痰の中にウイルスが含まれるのは1週間以内とされていますが、便の中には数週間にわたってウイルスが残ります。

ウイルスに感染しても症状が出ない人もいますが、そのような人でも数週間にわたって便の中にウイルスが排出されています。手足口病の流行中には、症状がある人が近くにいるかどうかにかかわらず、便の取り扱いに注意が必要です。

典型的な経過は、ウイルス感染後3~4日は潜伏期間で症状が出ず、その後発疹が出現し軽度の熱が数日続きます。場合によってはのどの痛みや咳などの上気道症状、下痢などの胃腸症状が出ることもあります。

有効な治療法はなく、1~2週間で自然に治るのでそれを待つほかはありません。しかしごくまれに髄膜炎、脳炎、心筋炎を起こすことがあり、なにかおかしな症状が出てきたとか、一向に治らないという場合には病院を受診することをおすすめします。

手足口病に関する法律はどうなっているの?

感染症の取り扱いについては、わが国では感染症法がそれぞれの感染症を1-5類感染症として分類して規定しています。

1類感染症に分類されるのは、エボラ出血熱やペストなどを含む一番危ない感染症です。危険性が極めて高い感染症であり、診断した医師が、すぐに保健所に届け出ることが義務付けられています。

手足口病は比較的危険性の低い感染症として5類感染症に分類されています。

その中で、すべての症例を届け出る必要がある感染症ではなく、指定された小児科定点医療機関のみが患者の発生の届出を行います。5類感染症の定点把握疾患ということになります。

さて、上記は医師が感染症を診断したらどうするかという法律ですが、診断された患者さんはどうしたらよいかということについて話をうつします。

感染症にかかった場合の登校に関しては、学校保健安全法という法律が第1−3種感染症としてそれぞれの感染症の扱いを規定しています。

例えばインフルエンザであれば、第2種感染症に分類され、「発症後5日を経過し,かつ,解熱後2日(幼児にあっては,3日)を経過するまで」登校してはいけないと定められています。

では手足口病はというと、学校において予防すべき感染症の第1-3種感染症に含まれず、条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる疾患とされています。

そして手足口病は本人の全身状態が安定していれば登校または登園可能とされています。

手足口病の場合は人にウイルスをうつさないように休んでも、ウイルスの排出期間が長いので感染予防にあまり効果的ではないため、休むかどうかは本人の体調次第となっているというわけです。


社会人は手足口病にかかったらどうしたらよい?

社会人が手足口病にかかった場合の対応ですが、学校保健法で明確な規定がないので、社会人に関しても明確な規定はありません。

マスクをしたり、手洗いうがいをしっかりしたりといった対応はするべきですが、症状がつらかったら休むという通常の風邪と同じような対応をするしかありません。

手足口病はウイルスの排泄期間が長いため、人にうつさないように休むことが現実的ではないとされてはいますが、接客業や飲食業等の業種では、場合によって厳重に対応するべきケースもあるかと思われます。

いくら決まりがないからといって、たとえばお寿司屋さんが手足口病の水疱だらけの手でお寿司を握るのは問題があります。

必要に応じて職場の前例を確認したり、上司に対応を確認したりというのも大切です。

まとめ

手足口病に関しては、感染後の登校や出勤に関して規定する法律はなく、本人の症状や全身状態によって休むかどうかを判断していただくことになります。

ただし、周りにうつさないように配慮は必要ですし、社会人であれば業種によっては職場で対応を確認していただく必要があります。

参考文献)
今日の小児治療指針 第15版 医学書院
内科診断学 第2版 医学書院
手足口病 – 厚生労働省ホームページ
保育所における感染症対策ガイドライン  2012年改訂版 – 厚生労働省
学校において予防すべき感染症の解説 – 文部科学省