内科小児科クリニックは医者がどっちの出身なのかを確認してから行くべし

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医療における自由標榜制というのをご存知でしょうか。

診療科の名前を医院の看板に出して、患者さんに向けて「うちは~科の医院ですよ!」と広告することが「標榜」です。

今の日本では「標榜」は「自由」なのです。医者が診療所を開業するときには、専門の診療科ではなくても看板に載せられるということです。

実際には一定の決まった名前の診療科の中からという制限があり、2008年に少し厳しい制限が追加されて「医師1人に対して標榜できる診療科の名前は原則二つ以内」などの条件が追加されました。

しかし今現在も、医師は自分の専門の診療科ではなくても、その科の名前を標榜してもよいということになっています。これが現在の日本における医療の自由標榜制です。

このため受診する人からすると、どのクリニックにいけばどの専門の医者がいるのかがわかりにくくなってしまっています。

こういった背景をふまえて、どうやったら自分の症状や病気にあったクリニックを探すことができるのかについて説明したいと思います。


医師は自分の専門外の診療科を看板に載せることができるので注意せよ

くりかえしになりますが、いまの制度では医師は開業するときに自分の専門外の診療科を看板に載せることができます。

しかし、たとえば「うちは気功で病気を治しているので気功治療科です」みたいななんでもありになっているわけではありません。

標榜できる診療科については一定の決まりがありますので、参考までにリンクを貼っておきます。

厚生労働省通知「広告可能な診療科名の改正について」

これらの中からであれば、たとえば「呼吸器内科・循環器内科」と看板を出してもいいし「内科・消化器内科」とか出してもよいわけです。

ここで重要なのは、外科医であっても内科クリニックを開業できますし、内科医が小児科クリニックを開業してもよいことになっているという点です。

医者が開業する場合、なにより自分のクリニックに患者さんが集まるかどうかを考えるので、たとえ自分の専門でなくてもその地域で患者さんが集まりそうな診療科名を看板に載せてしまうことがあります。

つまり、クリニックの看板に書かれた診療科名と、そこに勤務する医者の専門性は必ずしも一致しないのです。

看板に複数の診療科が載っているクリニックに行くときには注意せよ

たとえば「なんとか内科・小児科クリニック」という内科と小児科の両方が看板に書かれているケースがあったとします。

このクリニックに勤務している医師が1人であったとすると、内科医または小児科医として経験を積んできた医者が、開業にあたって患者数を増やす目的で、自分の専門ではない内科または小児科を看板に追加したと考えられます。

以前も下の記事に書きましたが、内科は大人の病気を診る診療科で小児科は子供の病気を診る診療科です。

何歳まで小児科で診てもらいました?小児科と内科の年齢の境目

小児科って何歳まで診てもらえるのかってご存知でしょうか? 実はこれ、明確な決まりがあるわけではありません。そして、実際のところはなんと病院によってルールが違ったりもします。 小児科なのか内科なのか迷った経験がある方もいるかと思います。この小児科と内科の分かれ目について説明していきたいと思います。

幼児期だとかかりやすい感染症は大人とは違いますし、大人だと加齢の影響からくる病気が多くなります。内科と小児科は似ているようで、あつかっている病気は大きく違うのです。

ですので、内科で何十年という経験をつんだからといって、小児科もできるようになるわけではないのです。逆もまたしかりです。

内科出身であっても、その後経験をつんで高いレベルで小児科の初期診療をやっている医者がいないわけではありません。また、小児科医であっても高いレベルで大人の診療をしている医師もいます。

しかし大人と子供でみられる頻度の高い病気はまったく異なり、内科医が子供を診療したり、小児科医が大人を診療するのでは、受けられる医療の質が不十分になってしまう可能性も考えられます。

この「なんとか内科・小児科クリニック」に勤務している医師が2人以上いて、それぞれ内科医として経験を積んできた医者と小児科医として経験を積んできた医者がべつべつにいるのであれば、看板が示しているとおりの専門の医師の診療を受けられることになります。

つまり「小児科」って看板に書いてあるからと言って、必ずしもクリニックに小児科医がいるわけではありません。もし小児科医を探しているのであれば受診する前にしっかり確認しておく必要があります。


医師の経歴がクリニックのホームページに載っていない場合は注意せよ

では、診療所に専門の科で経験を積んできた医者がいるかどうかはどのように調べればいいのでしょうか。

簡単なのは、そのクリニックのホームページで医師の経歴を確認することです。

最近では、開業したときに新しい患者さんを集めるため、また通院されている患者さんにクリニックの休診日などの情報を伝えるためにクリニックのホームページを作ることは必須とされています。

「行こうと思っているクリニックのホームページがない」という時点で、そこのクリニックはホームページを作るくらいのお金も稼げていないか、またはその院長はクリニックの経営に関して時代から取り残されている可能性があります。

経験豊富な高齢の医師であれば、実力は申し分ないだろうし、診療所のホームページなど作らないだろうという意見もあるかもしれません。しかしそのように診療所の経営に関して時代に取り残されているような医師は、日々進歩し続けながら変わっていく最新の医学にも取り残されてしまっているかもしれません。

また、たとえホームページがあったとしても、そこに医者の経歴が詳しく書かれていない場合には注意が必要です。

「その医者が何を専門に学んできたのかを患者さんにわかるようにしていない」ということは、専門でない診療科を看板に出してしまっているために「何を専門に学んできたのかを患者さんに知られたくない」のかもしれません。

通常であれば、診療所のホームページには医師の紹介のページがあり、「○○医学部卒業」につづいて「○○大学病院△△科医局入局」とか「○○総合病院△△科勤務」とか専門の診療科に勤務した経歴が書いてあるはずです。

たとえば小児科にかかる場合、内科勤務の経歴しかない医者しかないのに、クリニックの看板に小児科と書いてあったとしたら、小児科を専門に学んできた医者と同等の医療を受けられる可能性は低くなると考えられます。

まとめ

いまの日本の制度では、診療所の看板に載っている専門科と、実際にそこで勤務する医者の専門は必ずしも一致するわけではありません。

そのことを知っておいたうえで、病院を探す際には医師の経歴までを含めてしっかり下調べすることをお勧めします。

参考文献・サイト)
長尾和宏:自由開業・自由標椋制は守るべぎか 規制すべきか:月刊保険診療:69(9):54-57:2014
澤田雅子:診療科標榜と専門医について:日本小児科医会会報(43):187-187:2012
渡辺千鶴:医療情報を読み解く④ 自由標榜制:アピタル