医療デマ炎上のWELQに引用されていたので内容を検証しました

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先日からWELQというサイトが、医療の専門知識のないライターが書いた医学に関する記事を、適切なチェックをせずに公開していたということで批判を集めています。

たとえば、先日までは「死にたい」と検索するとWELQのページがGoogle検索のトップに表示され、そのまま自己分析サイトへ誘導するという状況でした。

「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受け – Itmedia 

これ以外にも間違いだらけの記事で医療関係のワードでの検索のトップを総なめにしていたようであり、「やって良いことと悪いことの限界を超えている」(下記リンク:More Access! More Fun!より)と医療者以外からも多くの声が上がっています。

DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回)- More Access! More Fun! 

【告発も追記】やってはいけない一線を越えたDeNAのウェルク(Welq)をとりあえず直ちに閉鎖すべき理由(シリーズ第2回)- More Access! More Fun! 

Googleの検索順位のしくみをよく分からない方のために説明すると、Googleなどの検索エンジンは結局機械がサイトを順位付けしているので、関連したキーワードや記事の量などを専門の人がうまくやると、記事の内容が正確ではなくても工夫次第では検索の上位に表示されてしまうんです。

で、上の記事を読むと、医療に関するデマ情報を公開して意図的に検索上位になるようにしただけでなく、問題になった後も「これからだんだんと専門家のチェックをしてもらうようにしました!」と言って記事を削除せずにそのままにしているというお話です。

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というか、まず日本語自体がおかしい

どれほどひどいのかと色々と確認してみたところ、当サイトの記事もいくつか引用されてしまっていたので、その範囲だけでも正確性に関して検証してみました。

【追記】2016年11月29日現在、以下で取り上げた二つのWELQの記事は削除されていました。

まず、肋骨が痛い時にどうする?ということについて書かれた下記のページ(魚拓)

肋骨の痛みとは?左右・真ん中に症状がおきるの?突然咳や背中に張りを感じたり、呼吸に異常を感じるなどの5つの原因のまとめ

の中の、下記の部分です。

肋骨が骨折した場合、レントゲンで撮れば簡単に済むと思っているかも知れませんが、これまでも何回か指摘しましたが、そう簡単には行かないで結構わからないことがあるのです。それに、内科では骨折治療に使うバストバンドの用意などはしていませんので、やはり専門にしている整形外科を受診しまし。

胸郭部の診断で、実際に痛いところがはっきりと肋骨に一致すれば、その部分を押してみて痛みを感じるようであれば、骨折部分を押してみます。それで、ずれが見られれば明らかに骨折ということになり、診断が出来ることになります。

このような場合、レントゲンで骨折を確認することになりますが、胸部レントゲン画像で診断がつかないことが多々あります。骨にひびが入って骨のずれが見られない骨折を不全骨折と言って、レントゲンで確認できないことがあります。

ちなみに当サイトの記事は下記です。

あばら骨が痛い場合は何科か|肋骨骨折の診断と治療について

・・・なんかWELQの記事は日本語のレベルからして問題だらけな気がします。日本人じゃない人が無理やり訳したような感じですね。

文章を変えるのがめんどくさくて、Google翻訳に入れて英語に翻訳したのちに日本語に再翻訳したのでしょうか。

さらに「受診しまし。」とか医学的に正しいとか間違っているとか、そういう問題ではなくなっています。

なぜこの記事が編集などのチェックをすり抜けて公開されたのか、全く想像がつきません。これでこの記事はGoogle検索の「あばら 痛み」で1位に表示されています(2016年11月28日現在)。すごい・・・

そもそもこのサイトでは私は「正確な医療情報を書いて広めるぞ!」と意気込んでいろんな記事を書いてきましたが、大企業が(WELQを運営しているのはDeNAです)こういうことをしているのを見ると、いろんな意味で心が折れそうです。

もとの記事と異なる内容が付け足されている

次に「気管の痛み」という話題について書かれた下記の記事(魚拓)

気管が痛い病気って?風邪・気管支炎・肺炎などの症状と原因や治療法・咳や痰、鼻水など見極め方まで12の知識を徹底解説!

気管には痛覚支配があって肺には痛覚支配がないということを本当に知っていてこの記事名にしたのでしょうか。そもそも喉の奥が痛い時にそれが本当に「気管の痛み」だとわかる人はほぼいないと思うのですが・・・

風邪症候群で、咳や鼻水、喉の痛み、発熱などで病院へいこうかな、とした時に迷うことがあるかも知れません。病院の規模もそうですが、何科に行ったらいいのか、氾濫しているたくさんの情報から選択しなければなりません。

ちょっといつもと違った感覚、それも風邪だな、という症状が感じられた際には開業医で診察を受けるのがベターです。肺炎のような重症化する疾患が疑われる場合には、入院も含めて体制が整っている病院を紹介してくれるはずです。

風邪症候群や気管支炎、肺炎というと呼吸器の疾患ということで、呼吸器科を標榜して医院や病院と考え勝ちですが、取りあえずは「内科」を標榜している医療機関での診察で十分対応ができます。そして子供の場合は、内科、小児科を標榜している医療機関での受診でOKです。

ちなみに当サイトの記事は下記です。

風邪を早く治すためには何科にかかるのが正しいの?

WELQの記事はさっきの肋骨の記事よりはだいぶ日本語がマシになっていますが、それでも違和感がある文章ですし、「考え勝ち」といった誤変換が残ってたりします。

ところで、WELQの記事では文章の最後に「子供の場合は、内科、小児科を標榜している医療機関での受診でOK」とまとめています。

しかし当サイトでは子供の受診について

内科小児科クリニックは医者がどっちの出身なのかを確認してから行くべし

何歳まで小児科で診てもらいました?小児科と内科の年齢の境目

などでしつこく取り上げていますが、内科、小児科を標榜していればどこでも良いとは全く言っていません。

これだと、引用先していただいた記事の内容と、WELQに書かれている内容はズレてしまっているので困ります。

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とりあえず削除依頼を出しましたが・・・

上にあげた二つの引用部分に関しては両者とも、当サイトの引用箇所だけ直せばちゃんとした記事になるという感じではなさそうでしたので、記事の削除依頼を出しておきました(そもそも専門家のチェックを受けていないのであれば今すぐ全記事削除すべきだと思います)。

【追記】2016年11月29日現在、取り上げた二つのWELQの記事は削除されていました。

これを医療の専門家が監修して全て正しく修正するのは、かなりの時間と手間を要すると思います。というかすべての記事をきちんと直すのは、量的に実質不可能だと思われます。

とりあえずこのサイトが引用された部分の範囲内では、直接生命に関わるような問題を起こす記事はなさそうでしたが、それでも日本語自体がおかしかったり、内容の整合性がなかったり、といった問題がある状況でした。

医療の専門家のチェックが全く入っていないとのことなので、膨大な量の記事の中にほかに医学的な大きな間違いを含んでいる可能性は高いでしょう。

冒頭に引用させていただいたMore Access! More Fun!様の記事の、「即座にすべて閉鎖して被害がでないようにし、あれこれやるならしっかり検証したものから再公開というのが筋でしょう。」という意見には全面的に同意します。

ネットの医療情報はとても危険

残念ながら、おそらくWELQ以外にもこのようなサイトはいっぱいあって、インターネットの医療情報は現時点ではそのまま信用するには危険すぎます。

これについて医学部出身のライターという異色の経歴を持つ朽木さんという方が鋭く指摘し、インターネットを利用する側はどうするべきなのか提案しています。

「がん」などのインターネットの検索結果で「信頼できる医療情報」を手に入れるために知っておきたいこと

この記事では、信用できる医療情報というものを手に入れることがいかに難しいか、という点についてわかりやすくまとまっています。

個人的には、騙されないようにインターネットをうまく利用するという点は確かに重要なことだと思います。

しかし間違えた情報に騙されないためには、最終的には「医師と対面して直接相談する」以上の方法は存在しないと思っています。