インターネット上の医療情報はどのように使うべきか[2016年末最新版]

ここ最近、インターネット上の医療に関するデマ情報について、盛んに議論がなされています。

先日までWELQというサイトが、医療の知識のないライターにネット上の情報をつぎはぎさせて、多くの記事を作成して検索上位に表示されるようにしていて問題になったのです。

WELQをはじめとして似たようなことをしていたサイトは、ここ一週間でいっせいに閉鎖となりました。しかし、まだ正確でない医療情報はネット上に散見されます。

インターネット上の医療情報とどのように付き合っていくか、ということについて、医師である私の結論を最初に書いておきます。

私はインターネット上の医療情報について、「調べ物をする時の「参考」として使うのは問題ないが、自分の健康に関わる問題であれば、最終的には実際に医師と対面してその真偽を確認するべき」という立場です。

この記事では、将来的にはインターネット上の医療情報はこうあるべき、というような理想を考えるのではなく、医療者ではない一般の方々が現時点でインターネット上の医療情報とどのように向き合うべきなのかを考えたいと思います。


インターネットは自由であるがゆえに嘘が多い

最近のWELQの事件で明らかになったように、インターネットは自由であるがゆえに、正しい情報と間違った情報が入り混じっています。

そのことを知った上で使うのは問題ないのですが、インターネットに慣れていない人の中には「検索上位にあるサイトが間違えているはずがない」というような誤解をされている方も多いです。

ここ最近、インターネット上の医療情報の真偽をどのようにしたら確認できるか、信用のあるサイトの見分け方はどのようなものか、ということも話題に挙がっています。

残念ながら今のインターネットは、厚生労働省などの公的な機関、大学病院や公的な医療機関のサイトの情報以外は、信用しないほうがいいでしょう。

他のサイトが全て信用できないと言っているわけではありませんが、上記の公的医療機関などのページを除いた領域には、情報の質の低いサイトと情報の質の高いサイトが入り混じっていて、それを医療者でない人が判断するのは困難だと考えられるからです。

医療情報が本物かどうかを見分けるのはプロのみが可能

以前、信用できるサイトの例として下記の記事にいくつか例をあげました。

病気や治療の信憑性の高い情報をインターネットで検索する方法をまとめてみた

上の記事の中で挙げたサイトは信用できると私は考えていますが、インターネットで医療情報を提供しているサイトは星の数ほどたくさんあります。

今のインターネットの状況を図にするとこんな感じです。

インターネットサイトを情報の質でピラミッドのように順位づけすると、上の方には公的なサイトが来て、下の方にWELQのようなキュレーションサイトを含めた様々なサイトが並びます。

これらのサイト一つ一つを信用できるかどうか細かに検討するのは難しいですし、自分の健康に関する情報を得るのに、嘘の情報に騙されるリスクを冒してまでインターネットの情報の真否を判断するのは得策ではありません。

例えば先ほどの図で、インターネットのサイトが信用できるかどうかの基準を作って、信用できるサイトとできないサイトを区別するためには、下の図のように歪んだ複雑な境界線を作る必要があります。

これは何を意味しているかというと、医療情報を提供しているサイトが信用できるかどうかの判断基準を作ろうとすると、単一条件で簡単に区別することはできないので複雑な基準になってしまうということです。

つまり複雑な線を引くかのように、執筆者は医療者なのか、医療の専門家が監修者としてついているのか、といった点から検証をはじめ、情報が学術的に裏付けられたものなのか、まで詳しく正確に判定する必要があるわけです。

この分類作業は簡単ではありません。そして最終的に「そこにある医療情報が正確なものなのか」を正しく判定するのは先ほどのように歪んた線を引くように難しく、これはもはや医療のプロでなくてはできない領域の仕事です。

少なくとも、今現在、様々なサイトが入り混じったインターネットの状況を見ると、医療従事者ではない一般の方々ができることではありません。

ですので、現状では一般の人がインターネットの医療情報が正しいかどうかを判定するのは避け、下の図のように公的な情報のみを信用するようにするのが一番安全だと考えます。

誤解を避けるためにいっておきますが、公的なサイト以外は信用できないと言っているわけではありません。

しかし検索する範囲を公的なサイト以外まで広げると、今のインターネット上の状況では嘘の情報をつかむ可能性が高くなるため、オススメできないというわけです。


公的な情報では不十分な場合にはどうするべきか

前述のように、厚生労働省などの公的機関、大学病院や公的医療機関などの大きな病院が発信している情報というのは、現時点ではまだまだ限られています。

それ以外の情報に関して、真偽を確かめたい場合はどうするかですが、これはもう医師と直接対面して確認するしかありません。

医者にインターネットの情報について尋ねると嫌な顔をされることがあるという意見もあるかもしれません。

個人的には尋ねられるのは全然嫌なことではありませんし、自分の健康に関してどうしても真偽を確かめたい事柄があるのであれば、躊躇する必要は全くありません。

しかし医者側の意見として書かせていただくと、多くの場合、「インターネットで見たんですけど・・・」と尋ねられた時に、実際に患者さんが見たページにどのような情報が書いてあるのか、よくわからないことが多いです。

患者さんが気軽に、そのインターネットサイトの情報も何もない状況で手ぶらで質問されることが多いのですが、これが案外困ります。

当然ながら医者はすべてのインターネットサイトを把握しているわけではありませんので、見たことのないサイトに関して真偽を判定するのはできません。そのために医者としては困ってしまうわけです。(明らかに嘘と分かる場合は別です)

ですので個人的にオススメなのは、尋ねたい事柄について、インターネット上のページを印刷するなりして、きちんと医者に見せることです。

どのような情報に関して、真偽を確認したいのか、はっきりさせた上で尋ねることが重要だと思っています。

医療情報は「個人に当てはまるのかどうか」という観点が重要

インターネットの医療情報に関して、もう一つ、実は大切な観点があります。

どんなに情報が正確であっても、「それが自分に当てはまるかどうか」は情報の正確性とは全く別問題なのです。

これを判定するのも、プロでなくてはできない領域の仕事であり、一般の方が自分の判断でやってしまうことはおすすめできません。

「インターネットで調べたから医者に行かなくてすむ」ということはありえません。

ですので基本的には、最後は医師と対面して相談するという以外にはおすすめできる方法はないと思っていただいて構いません。

インターネット上の医療情報はあくまで「参考」にとどめておくことが大切なのです。

まとめ

将来的にインターネットが成熟し、「医療情報はこうやって調べれば安全に正確な情報にたどり着ける」というようになれば良いですが、残念ながら今現在は全くそうはなっていません。

インターネット上の医療情報が正しいかどうかを判定するのは、もはやプロの領域の仕事です。医療者でない方がリスクを冒してまでやるべきことではありません。

公的機関などの最小限の信用できるサイトのみを利用し、他は信用しないというのが一番簡単かつ安全です。

それでも真偽を確認しなくてはいけない医療情報がある場合には、直接医師と対面して相談することをおすすめします。