あなたの健康診断の結果で分かることと分からないこと

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外来で検査をお勧めすると「健康診断を受けているから大丈夫です」とおっしゃる方がいます。

確かに健康診断をきっちり受けることは大切で、それによって病気がわかることも多いですが、健康診断項目がなにを調べていて、なにを調べていないかということを確認しておくことが大事です。


会社は健康診断をあなたのためにやっているわけではない

健康診断とは事業者が被雇用者に対して法律で義務付けられているために行うものであって、いってしまえば別にあなたの健康を心配してやってくれているわけではありません。

定期健康診断の項目を見てみましょう。以下のように労働安全衛生規則第44条で規定されています。

事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

どうでしょうか。結構多いなぁ、と思ったでしょうか、それとも以外と少ないなぁと思ったでしょうか。

重要なことは、これはあくまで規則で規定された必要最小限の検査であるということであり、「健康診断をしたから大丈夫」というものではないということです。

また、この中で心電図検査、血中脂質検査、肝臓機能検査、貧血検査、血糖検査は医師が認めれば40歳未満で省略可能であり、胸部エックス線検査及び喀痰検査も医師が認めれば省略可能とされています。

健康診断はあくまで必要最小限

これは本当に必要最小限の検査であり、健康診断だけでは見つからない病気というものは多く存在します。

例えば胃がんに関しては進行したものであれば貧血の検査などでみつかるかもしれませんが、早期の胃がんを上記の健康診断の項目で見つけるのは困難です。

早期の胃がんを見つけるためには内視鏡検査を受けなくてはけません。 最近はオプションでいろいろと検査項目を増やせるところもあるようで、内視鏡や超音波までやってくれるところもあります。

必要最小限の定期健康診断というものは、あくまで精密検査が必要な人を見つけるための検査であって、病気を診断するためのものではありません。

結果が返ってきたら異常のあるなしだけを見るのではなく、何の検査までやっていて何の検査はやっていないのか、ということを確認しましょう。


あなたが心配する病気の検査は健康診断結果用紙に載っていますか?

胃や腸の病気が心配な方は、胃や腸の検査はやったか確認しましょう。胃の病気のマーカーであるペプシノゲンや、大腸の病気を見つけるための便潜血の検査の結果は載っていますか?場合によってはバリウム検査や内視鏡検査が含まれていることもありますが、そこまで検査をやりましたか?

糖尿病が心配な方は、採血検査にHbA1cという糖尿病の検査値が載っているかどうか確認しましょう。血糖値はあくまで糖尿病のスクリーニングに用いられる値であり、高いのであれば追加でHbA1cのチェックが必要です。

最近血が止まりにくいという方、採血検査に血小板の値は記載されていますか?貧血検査だけでは血小板の値まではわかりません。

肺がんなど肺の病気が心配だという方、胸部のレントゲン検査は結果に載っていますか?40歳以下では毎年検査するわけではないので、咳などの症状が続くのであれば健康診断だけでは不十分です。

最近胸がどきどきすることがあるという方、心電図の検査はやりましたか?心電図検査も40歳以下では毎年行われているわけではありません。

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まとめ

何か健康に関して不安なことがあるのであれば、「この前健康診断を受けたから大丈夫」ではなく、早めに病院で相談したり、人間ドックを受けたりといった行動が大切です。