延命治療のこと、入院をきっかけに一度しっかり考えてみませんか

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もしあなたのご家族が入院したとしたら、相談しなくてはいけないことがあります。また、あなたが病気で入院したとしたら、考えなくてはいけないことがあります。

ちょっとした検査入院というのであれば別ですが、病気で治療入院した場合には必ず万が一のことを考えておかなくてはいけないのです。

万が一というのは、治療がうまくいかず、助からないかもしれない場合のことです。 入院して治療しているのだからよくなることを信じて、最悪のことなど考えるべきではないと言われるかもしれません。

よくなることを信じるのは必要だと思います。しかし最悪のことにもしっかり備えておかないと、それは時としてあなたとその家族に不幸をもたらすのです。

確かに入院したときにこんなことは考えたくないことだと思います。しかし、目を背けるべきではないのです。


延命治療は自動的に行われてしまう

現在の医療では、患者さんの状態が急変した場合には、あらかじめ主治医と相談しておかないと、人工呼吸器をはじめとしたいわゆる延命治療まで全てが半ば自動的に行われます。

全てを主治医にまかせても、主治医は自分の裁量だけでは延命治療を行わないという決定をできないのです。 助かる見込みがなくても、人工呼吸器がつながれ、心臓マッサージが行われ、不整脈がでれば除細動が行われます。

人工呼吸器では喉に無理やり管を入れるわけですし、心臓マッサージでは肋骨が折れることもあります。患者さんご本人のからだを不必要に痛めつけることになります。

その結果、そのような侵襲的な処置を施して数日間延命することが患者さんとその後家族にとって幸せをもたらすのかどうかということについて、近年頻回に議論されるようになってきています。

延命治療を行わないと決めるためには

よく、「やれるだけのことはすべてやってください」というご家族の方がいらっしゃいます。しかし、「やれるだけのことをすべてやること」と「患者さんの幸せのためになること」は必ずしもイコールではないのです。

それをご理解いただいた上での延命治療であればよいかもしれません。しかし、できることをすべてやればよいのだと盲目的に考えていらっしゃる方が未だに多いのが現実です。

延命治療を行わないと決めるためには、患者さん本人の意思、ご家族の同意が必要です。そして患者さん本人が意識のない状態であれば、ご家族が決めることになります。

延命治療を希望しないのであれば、ご本人とご家族が、主治医にしっかりと延命治療を望まないことを伝えることが大切です。そうすれば主治医はご本人とご家族の意思を確認した上でそれをカルテに記載し、患者さんに関わる医療者全員でその情報を共有します。

急変時に対応するのが当直医であるかもしれないので、情報は患者さんを診療する可能性がある医療者全員で共有されることが大切なのです。

そんなことはそういう状況になったときに相談すればいい話だと思われるかもしれません。しかし、これを決めなくてはいけない機会は、突然やってきます。突然で、しかもタイムリミットがあります。前々から相談しておかないと、その時にすぐに決めることは難しいのです。


本人にとって何が幸せかを考える

「畳の上で最後を迎えたかった」といっていた方でも、家族が救急車を呼んで病院に入院させられ、身体中に管を入れられて最後を迎えるのが今の医療の現実です。

医者側から見て一番つらく、また一番多く目にするのは、疎遠だったご家族が患者さんの入院を機に病院へいらして、「やれるだけのことはすべてやってください」とだけ言って帰っていくケースです。

そういう家族に限って、患者さんが最後を迎えるまで病院には来ないことが目立ちます。 ご家族が本当に患者さんのことを考えるのであれば、本当に患者さんの幸せを考えるのであれば、患者さんのご本人意思を尊重し、ときとして「やれるだけのことを全部はやらないでください」と決断することが必要です。

そのためにも、そのような話し合いができるうちに、可能であればご本人と家族で確認しておかなくてはなりません。

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最後に

延命治療は、疎遠なご家族が深く考えずに選んで良いものではないと思っています。

患者さん本人があらかじめ明確な意思をもっていることが一番ですが、本人が急変したときに医者が連絡するであろうと思われるご家族もその意思を共有しておかなくてはいけません。

最後をどのように迎えるか、迎えさせるかということから目を背けず、本人意志をご家族がくみ取ってあげる。それこそが「やれるだけのことはすべてやる」ということなのではないかと思います。