整形外科と形成外科と接骨院の違いを正しく知っていますか?
よく患者さんに腰の痛みや肩の痛みについて相談されます。 私は内科医なので関節リウマチなど内科的な病気が隠れていないかチェックをしますが、内科でみることのできない一般的な筋肉や関節の痛みは、整形外科に紹介するということになります。
すると、「えっ、これって整形外科にかかるんですか?」と言われる方がたまにいらっしゃいます。
美容整形という単語のイメージのせいでしょうか、整形外科の扱う領域を知らない方が実際にいます。
内科的な原因で起こるものを除いて、関節などの痛みは「整形外科」が専門であるということがあまり広まっていない印象があります。
整形外科は運動器を専門とする診療科
整形外科について、芸能人などのニュースで話題になる「整形手術」という単語と混同している方が少なくないようで、整形外科の正しい診療内容をご存知ない方が多くいらっしゃいます。
整形外科とは、運動に関わるすべての組織を扱う診療科です。つまり骨はもとより、軟骨、筋肉、靭帯、神経、そしてそれらが構成する関節などの病気や怪我を専門としている診療科です。 骨折の治療は整形外科にかかることになりますし、肩や腰の痛みも整形外科が専門になります。
形成外科は形態を治療する診療科
一方で形成外科は体の外面の形の異常や見た目の問題などに対して、その機能や形を正常に戻し、見た目からくる社会的なデメリットを除去する診療科です。
ひどいやけどのあと等を手術で形成し正常に近い外見にしたり、生まれつきの顔や指などの形の異常、外傷による形の異常を元に戻す治療を行います。
また、のどの領域のがんの手術などで切除範囲が広く、日常生活をおくるために外見が醜くなってしまうのを避けるために、形成外科医が再建術を行うことがあります。
そして、一般的に「整形手術」と呼ばれているものは、形成外科の中の一つの分野である美容形成外科の領域であるということになります。
接骨院では脱臼・骨折は応急処置まで
また、ほかに整形外科と紛らわしいものの一つとして接骨院が挙げられます。 接骨院とは、国家資格である柔道整復師が、打撲・捻挫の治療を行うところです。
柔道整復師の資格は医師免許とは異なります。 骨折や脱臼も扱うことになっているようですが、柔道整復師法第十七条で「医師の同意を得た場合のほか脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない」となっています。
ただし、「応急手当をする場合はこの限りでない」となっているので、応急処置はできますが、柔道整復師は手術、レントゲンの撮影や読影などの医療行為を行うことはできないので、骨折や脱臼はまず整形外科にかかるのが基本です。
まとめ
整形外科医は、運動に関わる関節や筋肉のスペシャリストです。
怪我や関節の痛みなどは整形外科のクリニックでまず相談してみましょう。