あなたの病気はなぜその日に診断してもらえなかったのか

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なにか症状があって病院にいくとき、多くの方はその日に診断がつくことを期待されているかと思います。 当然、病院に行ってその日のうちに病気の診断がつく方が患者さんにとって良いことは間違いありません。

しかし実際には、多くの場合には診断にたどりつくまでに時間がかかり、こちらとしても患者さんに申し訳ないと思うことも多いです。 では、なぜ病気の診断には時間がかかるのでしょうか。


あなたが受けるすべての検査診断のために大切である

多くの専門的な検査準備が必要で、その日にすぐできるというのは命にかかわるためにそのような準備をとばして緊急で行う場合に限られてしまいます。

例えばあなたが胃が痛いということで胃の内視鏡の検査を受けたくて病院にかかったとしましょう。 しかしその日に病院でしてもらった検査は、心電図とレントゲンと採血だけで、胃の内視鏡の検査はまた別の日に予約となってしまったとします。

胃がんかもしれないと思って病院にいったのに、その日には診断がつかず、別の日に持ち越されてしまうことでストレスを感じられるかもしれません。しかも胃が痛いと言ったのになんで心電図なんかとるんだと思われるかもしれません。 しかし、これらの検査は非常に大切な役割りをもっています。

病気の診断緊急性の高いものから行われる

この場合の心電図は、胃の痛みで来る方のなかに、少ないとはいえ心筋梗塞の人がいるため、あなたが心筋梗塞でないことを確認する目的で行われています。

また、採血では、胃の痛みだと思っても実は肝臓の病気だったり、すい臓の病気だったり、胆のうの病気だったりということがあるので、あなたの肝臓やすい臓のマーカーをチェックしています。

さらに胃潰瘍や胃がんでは、その部分からじわじわと血が出ている場合があり、それによって貧血が進んでいるときは緊急で入院が必要になるため、あなたが貧血になってしまっていないかどうかを調べています。

レントゲンでは胃潰瘍や胃がんを診断することは難しいですが、胃潰瘍や胃がんで胃に穴があいていれば、レントゲンで異常な空気がもれているのが写ることがあります。

その場合は緊急で手術が必要になります。 つまり、病院にかかった初日の検査は、まずあなたの病気が緊急性の高い病気でないかどうかを調べているのです。この部分は診断のためにとても大事な手順で、決して省略するべきではないのです。


専門的な検査はあなたのための準備が必要である

専門的な検査は、最初に述べたように準備が必要になります。そしてそのような検査のためには病院側の準備も必要ですし、あなたの準備も必要になります。

例えば胃の内視鏡の検査だったら、食事をしないで病院に来る必要があります。食べ物が胃にたまっていると、せっかく内視鏡をしても胃の中の食べ物がじゃまになって胃がんや胃潰瘍を見逃す可能性があります。

また、内視鏡を受ける人は検査の前に、B型肝炎やC型肝炎などを含めた感染症のチェックをしなくてはいけません。検査には血液が必要となるので、そのような感染症のチェックのための採血をしてもらう必要があります。

ですので、その日にすぐに検査というわけにはいかず、それらの準備を済ませてから検査をする必要があるのです。緊急の場合はこれらの準備をとばしてしまうこともありますが、可能であるのならば準備をしっかりしたほうが診断の精度は上がるのです。

また、病院側の要因として挙げられるのは、胃の内視鏡の検査をする部屋で別の検査をやっていることもあったり、内視鏡をできる医師や内視鏡の補助をする看護師が勤務している日が限られていたりすることもあります。そして、血を吐いて救急車で運ばれてくるような緊急性の高い人のための検査の枠を開けておかなくてはならない場合もあります。

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あなたの症状の「様子をみる」ことが診断に役立つことがある

もう一つ病気の診断について大事なこととして、場合によってはなにもしないで様子を見ることが診断の大切な手がかりになることがあります。

例えば首のリンパ節が腫れてしこりができているという場合、いきなり「じゃあリンパ節を切ってとってきて、がんかどうか見てみましょう」とはなりません。

首のリンパ節の腫れは一時的な咽頭炎、扁桃炎などで多く見られ、その多くは自然に治ってしまいます。

そして1週間ほど様子を見てよくならないとか、むしろだんだん大きくなったきたといった場合、がんの転移やリンパ腫などを疑って侵襲的な検査をするかどうか考えていくことになります。

この場合様子をみるということによって非常に大切な情報が得られるわけです。ですので「様子をみましょう」といわれたから、もう検査をしないということではありませんのでご安心いただければと思います。

まとめ

多くの病気の診断はその日には確定できず、時間がかかってしまいます。

しかしその時間は、診断の正確性を高めるためのものであるとご理解いただければと思います。