朝礼で倒れないようにするためには|血管迷走神経性失神の予防治療

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学生のころ朝礼で倒れる人というのがいましたが、よくこの現象が「貧血で倒れる」と呼ばれています。

ただし医学用語の貧血の意味は「血が薄くなること」であり、朝礼で倒れることの多くは血管迷走神経性失神という現象です。

朝礼で倒れる原因と、この言葉の違いについては下ので説明しておりますので参考にしていただければと思います。

「貧血で倒れる」は間違い?朝礼でなぜ人は倒れるか

「貧血で倒れる」という言葉があります。よく、朝礼で倒れたりした人のことを貧血で倒れたということがありますが、これは「貧血」という単語が誤って使われていると思っています。「貧血」の本当の意味は?

クリックするのがめんどくさい人のために説明してしまうと、この現象は長時間同じ姿勢で立っていることにより、神経のバランスが崩れて起こります。

神経の調節がうまくいかずに全身の血管が一時的に緩んでしまい、そのために脳への血液が足りなくなることで倒れてしまうというメカニズムで起こるのです。

血管迷走神経性失神自体は危険な病気ではありませんが、場合によっては倒れた時に頭を怪我してしまうケースがあり、これが問題となります。

あまりにこの原因で失神を繰り返す人は、失神の予防や治療をするという選択肢があります。


じゃあ血管迷走神経性失神の治療ってなに?

以下に挙げるものはあくまで、病院で医師による診察と検査を受けた上で血管迷走神経性失神であると診断された人の失神の予防法であることに注意してください。

日本循環器学会のガイドラインで、血管迷走神経性失神の治療として科学的根拠に基づいてclassⅠ(有益であるという根拠があり,適応であることが一般に同意されている)となっているものを挙げていきます。

classⅠで記載されているのは、「病態の説明」、「誘因を避ける」、「誘因となる薬剤の中止」、「前駆症状出現時の失神回避法」の4つだけです。

まず血管迷走神経性失神どういうものか知る

その中で一番最初に挙げられているのが「病態の説明」です。上にも書きましたが血管迷走神経性失神はあくまでストレスによる神経のバランス調節の乱れが原因です。

血管迷走神経性失神を起こす人にとってまず一番大切なのが、この失神は脳や心臓に異常がある怖い病気ではないということを知ることです。

転んで怪我をするという危険性を除けば、この失神があるからといって命に関わる問題にはならないのです。

何か治療をしなくては治らないとか、薬を飲まなくてはいけないとか心配される方がいらっしゃいますが、そのような病気ではないことをまず知ることから、この失神への対応が始まるわけです。


血管迷走神経性失神起こしやすい状況を避ける

そして血管迷走神経性失神の治療において次に大切なのが、この失神起こしやすくする状況をあらかじめ避けるということです。

血管迷走神経性失神は長い時間同じ姿勢でずっと立っていたり座っていたりといった姿勢によって起こりやすくなることが知られています。

また、特定の痛みの刺激(通常の痛みや採血などの痛み)によっても起こりやすくなりますし、睡眠不足や疲れがたまっていても起こりやすくなります。

さらにはすごく怖い思いをしてそれによってこの失神を起こす人もいます。また、人ごみや閉鎖空間などの環境に対するストレスによっても起こりえます。

水分不足で脱水になってしまったり、食事で極度の塩分制限をしたり、またお酒を飲んで酔っている状況でも起こりやすくなるので注意が必要です。

この失神を起こしやすい人は、自分が失神しやすい状況を把握し、そのような状況をあらかじめ避けるということが、何よりも一番の予防法になります。

薬のせいではないか確認する

さらに、一部の血圧の薬や利尿剤は、血管を緩めやすくしたり、血管の中の水分を少なめに調節する作用によって血管迷走神経性失神を起こりやすくします。

もしあなたが何か薬を飲んでいて、たびたびふらついたり失神しそうになったりするようであれば、早めに主治医に相談しましょう。

ガイドラインでは、誘因となる薬剤の中止も有効な治療の一つとして挙げられていますので、何か薬を飲んでいるという人は確認が必要です。

失神しそうなときはしゃがむか横になる

そしてそれでも失神しそうになってしまったときは、すぐにしゃがんだり横になったりして頭への血液量を保つことが失神の回避に役立ちます。

血管迷走神経性失神の特徴は、他の心臓が原因の危険な失神と異なり、失神しそうだと感じるサインがあることです。 目の前がだんだん暗くなってきたり、冷や汗がでてきたり、気分が悪くなって来たりといった失神しそうなサインがでてきたらすぐに頭の位置を低くすることが大切なのです。

それ以外には立ったまま足を動かしたり交差したり、両手を組んで引っ張りあったりといった動作も血圧が上がるために失神の予防に有効といわれています。

これらの方法を知っておき、失神によって倒れて怪我をすることを避けることが生活の上で大切になります。

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まとめ

くりかえしになりますが、ここに挙げた方法は、あくまで血管迷走神経性失神と診断された人の対応方法です。

あなたが失神したことがあるからといって、それが血管迷走神経性失神かどうかは病院できちんと調べないとわかりません。

失神には怖い病気が隠れていることがあり、失神したのに病院に行かずに上に挙げた方法を試すことは絶対に避けてください。

失神の種類、検査については 下の記事にまとめておりますので、参考にしていただければと思います。

朝礼で倒れた人が病院にいくとどんな検査を受けるのか

失神という言葉の正確な意味をご存知でしょうか。失神とは一時的に意識を失い、姿勢が保てなくなるものの、その後自然かつ完全に意識が回復する状態のことをいいます。よく、学校などで朝礼の時に倒れて保健室に運ばれる人がいますが、あれも失神です。

そして血管迷走神経性失神をよく起こす人は、怖い病気ではないことを知り、起こさないように予防するのが大切ということになります。

参考資料)
日本循環器学会 失神の診断・治療ガイドライン  2014年4月4日、日本循環器学会HP閲覧、最新情報はhttp://www.j-circ.or.jp/guideline/をご確認下さい(医療従事者向け)