血が薄くて疲れやすい|貧血は何科にかかるべきか

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よく「私、貧血でよく倒れます」という人がいますが、ここで取り上げるのは倒れる方の貧血ではなく、血が薄くなる方の貧血の話です。

どういうことかといいますと、倒れる方の貧血は正確には「失神」です。これに関しては 下の記事で説明しておりますのでこちらをご参照していただければと思います。

「貧血で倒れる」は間違い?朝礼でなぜ人は倒れるか

「貧血で倒れる」という言葉があります。よく、朝礼で倒れたりした人のことを貧血で倒れたということがありますが、これは「貧血」という単語が誤って使われていると思っています。 「貧血」の本当の意味は

医学的には貧血は採血検査ヘモグロビンという数値が低いことを指します。 赤血球のなかで酸素の運び屋として働くヘモグロビンが、何らかの原因で少なくなってしまい、血液が薄くなることが貧血です。

ヘモグロビンは定期健康診断の項目にも含まれているので、きちんと健康診断を受けている人は必ず調べられているはずです。

それでは健康診断でヘモグロビンの値が低くて、貧血といわれた場合、何科にいけばよいのでしょうか。


貧血で迷ったらとりあえず内科でいい

貧血の専門というと血液内科ということになりますが、血液内科的な診断、治療を必要とする血液の病気は少なく、貧血のほとんどは消化管からの気づかない出血や女性であれば生理による出血、そして鉄摂取不足に伴う貧血です。

これらの治療や検査は必ずしも血液内科にかからなくていけないわけではありません。 仮に血液内科にがかるとしたら、一般的な内科外来でまず原因を調べて、出血や鉄不足などの一般的な原因が除外され、血液細胞や免疫、骨髄などの病気による貧血が疑われたらいうことになります。

血液内科は大きな病院にしかなく、しかも白血病に対する抗がん剤治療などを扱う診療科です。 血液内科が主に対応する貧血というのは血液細胞自体や血液細胞を作る骨髄、さらには免疫に異常がある特殊な病気で、一般的な内科で検査して必要であれば血液内科を紹介してもらうというケースが多いです。

また、女性で生理量が多いなど思い当たることがあれば婦人科を受診して検査をしてもらう方が優先順位としては高いでしょう。

ほかにも過去に胃潰瘍だとか、十二指腸潰瘍だとか、大腸のポリープなど消化管の病気を指摘されたことがある人は消化器内科にかかるほうが優先順位が高いといえるでしょう。

しかし別に思い当たることなどないし、何科にかかればいいかよくわからない、という人は、最初に一般的な内科にかかっておけばまず問題ないといえます。

内科であれば貧血の原因を調べる検査をしてもらえますし、必要に応じて消化器内科、血液内科、産婦人科などへ紹介してもらえます。

じゃあ貧血病院に行くと何を調べるの?

貧血の原因はさまざまです。ですが、日本においては貧血の原因の70%が鉄欠乏性貧血といわれており、まず鉄欠乏貧血かどうかの検査をうけることが大切になります。

鉄欠乏性貧血かどうかは、採血のヘモグロビン以外の貧血のマーカーの変動で確認します。 具体的には赤血球の大きさや、赤血球の製造のスピード、血液中の鉄分や体に貯蔵されている鉄分(貯蔵鉄:フェリチン)などを採血で確認して診断します。

鉄欠乏性貧血であれば、その次に原因を調べてもらうことが大事です。消化管や生理による慢性的な出血がないかどうか、鉄分の摂取不足がないかどうかを調べることが必要になります。

他にも鉄欠乏性貧血の原因として、成長期や妊娠で相対的に鉄分が不足していたり、胃切除の手術後で鉄分が十分に吸収できていなかったりといった可能性も挙げられます。


貧血にはほかにどんな原因があるの?

貧血の原因にはさまざまな病気や原因があります。具体的に代表的な貧血の種類を書いていきます。

貧血はまず、ヘモグロビンが作れなくなってその結果赤血球が足りなくなる貧血と、ヘモグロビンはきちんと作れているのに赤血球が足りなくなる貧血に分かれます。

ヘモグロビンが作れない貧血

これは赤血球の中のヘモグロビンの材料である鉄分が不足している鉄欠乏性貧血が含まれます。

それ以外に、他の病気によって体に強い炎症があるために、鉄分は足りていてもうまくヘモグロビンを作れないという状態があります。

具体的に感染による病気や,関節リウマチなどの慢性的炎症が続く病気がんなどで見られることがあります。

これらは背景の病気自体の治療をうけることが貧血の治療になります。 また、特殊な病気ですが、ヘモグロビンを作る工程に異常がある鉄芽球性貧血という病態があります。生まれつきの異常が原因であったり、白血病や関節リウマチ、薬剤などで起こる病気です。

ヘモグロビンは作れているけど赤血球が足りない貧血

ヘモグロビンは体内で作れているのみ赤血球が足りないという貧血は、具体的には赤血球を作る場所がなくなってしまう貧血」「赤血球をつくるためのホルモンがなくなる貧血」「作った赤血球が壊されてしまう貧血」「ヘモグロビン以外の材料がなくて赤血球がつくれない貧血」があります。

貧血で病院にかかるのに、これらのことまで知っておく必要はあまりありませんが、参考までに記載しておきます。 「赤血球を作る場所がなくなってしまう貧血」は、白血病などの血液細胞のがんにより、血液細胞の工場である骨髄が、がん細胞で埋まってしまうことで起こります。

「赤血球をつくるためのホルモンがなくなる貧血」は、エリスロポエチンという赤血球を作る指令を出すホルモンが腎臓から出るのですが、腎不全などでこれが不十分になることで起こります。

「作った赤血球が壊されてしまう貧血」はアレルギーや感染の病気、薬剤など様々な原因で赤血球が壊されてしまう状態です。肝硬変で血液が肝臓を通れなくて、脾臓にたくさん送られることでも起こります。

赤血球が壊れることを溶血といい、この貧血は溶血性貧血と呼ばれます。 「ヘモグロビン以外の材料がなくて赤血球がつくれない貧血」では、主には葉酸やビタミンB12の不足によって、細胞の中でも大切な役割をもつDNAがつくれなくなることで起きる貧血です。

これらの中でも、明らかに腎不全が原因であれば腎臓内科、肝硬変が原因であれば消化器内科で治療を行います。それ以外の特殊な貧血に対しては、血液内科の医師が診断に応じて治療するということになります。

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まとめ

健康診断で貧血といわれたら、まず鉄欠乏性貧血かどうかを一般内科検査してもらいましょう。

そして結果に応じて、原因を詳しく調べるために専門科にかかる必要があるかどうかを相談しましょう。

参考文献)
日医雑誌 2008:137(6);1173-1176
Wintrobe’s clinical hematology,12th edition. 2009