高血圧の治療がゆるくなった?|高血圧ガイドライン2014の治療目標

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患者さんに、「先生、高血圧の治療の目標がゆるくなったらしいじゃないですか、薬減らしてくださいよ」といわれました。

薬を減らしてほしい気持ちはわかりますが、ちょっと待ってください。本当に薬を減らすべきかどうかはまた違う問題です。

確かに先日2014年の4月1日に高血圧治療ガイドライン2014が5年ぶりに改訂され、一部の人では血圧の治療目標がゆるくなりました。

しかし目標値がゆるくなったことがすべての人にあてはまるわけではありません。そして、薬を減らす必要があるわけではありません。ここで説明しておきます。


新しい高血圧治療血圧目標値

高血圧ガイドライン

上の図は新しい高血圧治療ガイドライン2014による高血圧治療目標値をまとめたもので、その下にあるのが古い高血圧治療ガイドライン2009の目標値になります。 目安と書かれているのは、診察室と家の血圧の基準値を元に、その差をあてはめた数値になります。

目標血圧がゆるくなったのは主に他に病気のない人

高血圧の基準自体は診察室の血圧で140/90 mmHg以上ということで同じです。

しかしほかに病気のない74歳までの人は、診察室での血圧は目標140/90 mmHg未満、家での血圧は目標135/85 mmHg未満となり確かに目標値はゆるくなりました。

また、75歳以上の人は、診察室での血圧は目標150/90 mmHg未満、家での血圧は目標145/85 mmHg未満になり、やはり目標値はゆるくなっています。

病気がある人の中でも、心筋梗塞や狭心症の心臓病の人は、診察室での血圧は目標140/90 mmHg未満、家での血圧は目標135/85 mmHg未満となり、これもゆるくなりました。


ほかの病気がある人は目標血圧はゆるくなっていない

糖尿病がある高血圧の人、腎臓病があって尿蛋白が出ている高血圧の人は診察室での血圧は目標130/80 mmHg未満、家での血圧は目標125/75 mmHg未満で変わっていません。

また、脳梗塞などの脳血管障害を起こしたことがある人は診察室での血圧は目標140/90 mmHg未満、家での血圧は目標135/85 mmHg未満で変わっていません。

薬を積極的に減らしてもらう必要はない?

一番目標がゆるくなった後期高齢者についてみてみます。

新しいガイドラインで後期高齢者の目標値が150/90 mmHg未満となっていますが、ガイドラインの中では「忍容性があれば140/90 mmHg未満」と注意書きがあります。

そして薬を飲むことに関して副作用などの問題がなければ、心筋梗塞や脳梗塞の予防のために、最終目標としてこれまで通り140/90 mmHg未満に血圧コントロールしたほうがよいと書かれています。

つまり、ガイドラインがゆるくなったからといって、今飲んでいる薬を減らす必要があるということではないのです。

ほかにもガイドラインの中では、若・中年者においても記載があります。 治療により140/90 mmHg未満であっても、更に血圧を下げることで心筋梗塞などの心血管病の予防にはなることが期待できるが、低い目標血圧を設定することを支持するデータに乏しいとの記載です。

これも同じく、今現時点で血圧の薬を飲んで、古いガイドラインの血圧の目標を達成している人が、ガイドラインがゆるくなったからといって薬を減らす必要はないととらえてよいでしょう。

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まとめ

高血圧治療ガイドライン2014において、高血圧の治療の目標値は一部の人でゆるくなっています。

しかし、今現在薬を飲んで血圧のコントロールが安定しているような人が、薬を減らさなくてはいけないということにはなっていないのです。

参考文献) 高血圧治療ガイドライン2014 日本高血圧学会発行