病院に行く前、あなたは必要な情報を手に入れられますか?

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あなたは病院を選ぶときに、その病院がどれだけ病院に行く前のあなたに向かって情報発信しているか、という点に注目したことがありますでしょうか。

もしなければ、今後病院を探す機会に一度そのような視点で医療機関を比較してみることをお勧めします。

先日、新出生前診断:遺伝についての知識「妊婦に不十分」というニュースがありました。

内科医師である私にとっては専門外もいいところの話なのですが、少し思うところがあって取り上げました。

今回のニュースは、「みんな自分の子供に関わる大事な問題だからもっと勉強しなきゃだめだよ」とでも言いたいのかと受け取られかねないなぁと思いました。

私が感じたことは、これとはまったく逆の話で、「病院は患者さんに十分に情報発信できていないということだ」という話です。


病院に行く前、あなたは病気の情報どこで調べますか

医療というものは、あなたが病院に行って、診察室に入ってから医師と会話をして、そこからスタートすると考えがちですが、実際は違います。

まず「病院に行く」という行動自体、自分でいろいろ調べなくてはいけないと実感したことがある人も多いかと思います。

実際に、あなたは自分の体に問題が起きたときに、「病院に行く」かどうかを自分で判断することになります。

そしてさらに病院にかかるとき、自分の症状は内科にかかるものなのか、整形外科にかかるものなのか、とあなた自身で判断しなくてはいけないということになります。

その病院はあなたに情報を伝えてくれましたか?

逆に考えると、病院に行く前のあなたに対して、適切な情報を発信している病院というのは、実際に受診するかどうかは別として、患者さんのことを考えている良い病院ということになります。

そういった視点で、病院のホームページなどをのぞいてみると、結構多くの病院が、患者さん向けの情報ページを持っています。

しかし、中には本当に患者さんに伝えるつもりがあるのだろうか、という専門用語だらけのページを公開している病院もあります。

このような情報発信にどれだけ力を入れているかというのは、その医療機関が患者さんにとって良い病院であるかどうかの一つの指標になり得ます。

病院に来る前のあなたに対してどれだけ適切な情報を発信できているか、というのは、その病院の患者さんのために役立とうとする根本的な姿勢を表しているのではないかと思います。


わかりやすい情報には手間がかかっている

さて、上記の母体血を用いた新しい出生前検査ですが、インターネットで少し調べれば、診断を確定できるものではないこと、特定の染色体異常のみを対象とした検査であることなどの情報はだれでもすぐ手に入ります。

また、そもそも染色体ってなに?みたいな情報もインターネットではすぐに手に入ります。 しかし、残念ながら多くのページが医学用語だらけです。医療関係者であれば読むのに苦はないですが、通常の方には苦になるであろうサイトが多数を占めます。

つまり、いかに患者さんのことを考えて情報発信しているのか、という点で多くの医療機関が社会のニーズに対して十分なレベルに達していないのではないかと考えられます。

より多くの時間や労力が必要ですが、病気に関するセミナーの開催など、地域社会での情報発信が広まれば、こういった問題は縮小に向かうと思われますが現実にはなかなかうまくいかないようです。

前述のニュースに関しては、妊婦向けのセミナーなどもあるはずなのですが、それもまだまだ十分でないと評価されてしまったいうことになります。

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そしてインターネットだけでは不十分という現実

また、医療情報に関してもう一つ考えなくてはいけないことは、情報発信はインターネットだけでは不十分だという点です。

特に、これまで病院にかかったことがない若い方とか、インターネットなどの情報機器を使う機会の少ない高齢の方にとって、手に入る医療情報は不十分なのではないかと感じています。

実際にこのような方が、怪我で内科に来たり、といった誤った判断で来られるケースが多いように思います。 日常的に調べものにインターネットを使う人は非常に多い反面、インターネットを使わない、使えない人がいるのもまた確かなのです。

テレビ、雑誌や新聞の特集などのマスメディア、地域におけるセミナーの開催、講演会など、より重要な媒体は数多くあり、医療機関もこれらの存在をもっと重要に考えなくてはいけません。

私もこのブログでいろいろ書いていますが、例えば病院に通う機会の多い一人暮らしの高齢の方には、おそらくインターネットを介した方法だけでは届かないという現実があります。

そういった方々にも届くよう、診察室に入ってくる前にどのように情報を伝えるか、というのは今後の医療業界の課題だとも言えます。

まとめ

実際に病気のことを調べようと思えば、実は有益なサイトというものがインターネット上に多く存在します。

有名なところではメルクマニュアル医学百科家庭版など、無料で非常に質の高い患者向け情報を発信しているところもあります。

しかし現実として、病院に行く前の患者さんが、病院にかかろうとするときに必要とする医療情報を十分手に入れられるかどうかは改善の余地のある課題です。

患者さんに適切な情報を発信している医療機関がある一方で、それをできていない医療機関があるのもまた事実です。

もし今後機会があれば、その病院があなたへ向けてどれだけわかりやすい情報を伝えてくれているか、という点にも着目してみていただければと思います。